「How Low?」COBAIN モンタージュ・オブ・ヘック ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)
How Low?
ファン垂涎、と言うと不謹慎になるんでしょうか。節操がない、と言われたらそうなのでしょうね。
自分、アカウントのアイコンを(ご存じの通り)カート・コバーンにしておりまして、まあ、つまり、彼の崇拝者です。CDは言うまでもなく、関連書籍その他を買い漁るほどに彼を愛しております。ニルヴァーナほぼ毎日聴いてます。
そんな自分でございますから、そりゃ未発表音源、未発表映像てんこ盛りのドキュメント映画が公開される!というならば行かない訳にはいかない。何を置いても優先される事項です。
ええ、はい。タマりませんね。タマらない。まあ兎に角初めて目にする映像の多さに驚きました。なんだか他人のプライベートを覗き見してるような罪悪感も少し伴いましてね。コートニーとの愛の日々が垂れ流しですから。こんなに見せちゃっていいの!?と。どこかでちょっとは公開されてるかもしれないし、自分が今まで見たことなかっただけなのかもしれませんけど、いや、それにしても、赤裸々過ぎて。
それとね、動いてるカートがスクリーンに映し出されている!というその一点。その一点のみにも興奮を覚えまして。いやあ、これは貴重ですよ。すごく貴重。
関係者のインタビュー映像やら(クリスとかコートニーの証言なんて本当に胸が詰まる。苦しそうでね。よく喋ってくれたなと。有り難いことです)、カートの音声に合わせてのアニメーションなんかも味があってね。それと全編がかなりカオスでね、コラージュ的というか、映像と音声のごった煮感。しかしぐっちゃぐっちゃの中にも構成力を感じたりしてね。凝った作りで。観ていて飽きなかったです。
ただね。ただ、なんでしょう。う~ん。なんていうのかな。
こんなこと言っちゃっていいのかな。あの。あの、でもこれ、映画としてはちっとも面白くないですね。映画として観るなら。
ある時期に頂点を極めたロックのアイコンであり、チェ・ゲバラ的というか、偉人達とそう変わらないカリスマ性の持ち主。そんな彼の内面性を探る旅、追体験としてはこれ以上ない作品だとは思っています。そして、それよりも先ず自分は記録映像としてこれを捉えてるから、ちっとも構わないです。これで良いです。資料価値めちゃくちゃありますし。
ただ、でも映画として捉えるなら首を傾げざるを得ない。かなり酷い出来なんじゃないかな。
酷いは言い過ぎか。えーと。例えばこれ、カート・コバーンを全く知らない人が見て、彼を好きになるか?となったら絶対にならない。興味が湧くか?とも絶対ならない。ファンだけに向けた作品だよなあと。
この映画を観てカートを好きになってくれたら有り難いし、嬉しいんだけど。そんな人、出てくるかなあ。
今、非常に複雑な気持ちでレビュー書いてます。「じゃあ、どう酷いのか?どう映画としてダメなのか?」と問われると、ここでそれを容易く列挙は出来ます。でもそれはしたくない。「じゃあ手放しで褒めればいいじゃないか」というと、それも嘘付いてるみたいで。なんか、全くレビューの体をなしてないですね。
ごめんなさい。以上です。