「超高速!超推理!」探偵ミタライの事件簿 星籠(せいろ)の海 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
超高速!超推理!
原作はベストセラー・シリーズ。
話も面白そうなミステリー。
でも、いざ映画にしてみると…。
こういうのって、よくあるよね。
本作もまさにそう。
瀬戸内海の小島に半年間の間に6体の死体が流れ着く。
広島県福山市では、外国人女性の変死体や目と口を塞がれるなどの奇妙な事件が続発。
脳科学者・御手洗が難事件に挑む…!
まず断っておくが、内容自体は面白味充分なのだ。
二つの事件、死体島、そこに“星籠”と呼ばれる伝説の首長竜の存在や歴史のロマン、ご当地ムービー的要素も絡み、欲張り過ぎなくらい。
ダメなのはやはり、演出や脚本なのだろう。
確かに和泉監督は職人監督だが、本作には全くと言っていいほど個性が無く、平凡。これじゃあ2時間のSPTVドラマと言われても頷くしかない。
脚本も、良く言えばポンポンポンポン話が進むが、悪く言えば…
御手洗の超人的な超推理!
こちらに推理させる暇も与えず、まるで次の“話の展開”が分かっているかのよう。
このように、御手洗の超高速超推理をただ黙って見ているだけで、じっくりと推理の醍醐味を味わえないのが最大の難点。
事実、面白味はある筈なのに、何だか途中で飽きてしまった。
天才だけど変人というのもステレオタイプ。
玉木宏のナルシストな演技も何だかなぁ…。
広瀬アリスの映画オリジナルキャラもウザく、周りの登場人物も全然魅力的ではない。
犯人も何となく予想付く。
ラストは船を出して爆破のスペクタクル感を出したものの、失笑&拍子抜けの星籠の正体など、何もかもちんけ。
もう一度断っておくが、面白味は充分の原作にはこれっぽっちも罪は無い。
それを活かせなかった側に問題があるだけ。
素直に2時間のSPTVドラマにした方が、名シリーズ物になってたかもしれない。