「広島県福山市を好きになった」探偵ミタライの事件簿 星籠(せいろ)の海 MAPLEさんの映画レビュー(感想・評価)
広島県福山市を好きになった
ガリレオの二番煎じのような感じで、玉木宏と広瀬アリスだから見たけれど、事件の内容はうーん。
瀬戸内海が舞台で、歴史ロマンが盛り込まれているところが面白かった。特殊な潮の流れを活かして、船の荷下ろしに雁木を、船の修理に焚場を備えた鞆の浦で、様々な藩主達も戦国時代の海戦の際には潮待ちをしたと言うのはロマン溢れている。
でも、事件の凄惨なシーンが出てきて、その美しい海のイメージも怖さが汚してしまい残念。
広島の福山出身の阿部正弘という藩主が江戸幕府の老中をしていた頃、黒船との水軍に備えて星籠という武器を備えていた。それは、福山の村上水軍という強い水軍が、過去に負かした信長勢による鉄製の船を備えた復讐に破れた際、信長の船を沈めた時にも使われた潜水艇。村上水軍の次に強かったとされる忽那水軍が作ったとされ、瀬戸内海の下には生きたサンゴなど星空のような美しい宇宙が広がっている事から名付けられた。
そしてその、村上水軍の末裔が要潤。福山で勢力を持つ化学会社の社長、吉田栄作は、吉田栄作の父が化学会社に対する反対運動を苦に自殺した過去があり、復讐を胸に抱いて社長となり、危険ドラッグを密造し、外国人労働者達を手下に悪事を働いていた他、学生時代に反対運動の首謀者だった神尾佑とその妻に凄惨な復讐をしたのだった。神尾佑の子供は殺害されていたが、それは吉田栄作ではなく、看護学校に通うベビーシッターがベランダの蛍光灯を脚立で覗いた際に不慮に落としてしまったのだった。要潤と吉田栄作は昔から兄弟のような関係性で、不思議と今回の事件でも繋がりがあった。
星籠が水龍の正体だろうということ、化学会社や街中をうろちょろする外国人が危険ドラッグに絡んでいることは容易に推測できてしまう。さらに、玉木宏はとてつもなく頭が良い設定なのだが、広瀬アリスと石田ひかるの説明セリフやカメラワークによって観る側が置いてけぼりにならないようになっているため、玉木宏がセリフを言うより前に観る側が悟ってしまう。よって、玉木宏の天才脳科学者ぶりがイマイチ伝わってこない。
福山の魅力を存分に伝えているだけに、もったいなかった。
シリーズ化するような予感。原作者が実写化の時に唯一指定した俳優の、玉木宏。かっこよくて、多分また観てしまうと思う。