「自由を欲するのは自我の目覚め」エクス・マキナ REXさんの映画レビュー(感想・評価)
自由を欲するのは自我の目覚め
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スケルトンのデザインと、動くたびに微かに機械音がする美しいAIそのものが、この映画の魅力。
アリシア・ビカンダーの、少し人間とは違う抑制された体の動かし方がいい。
大富豪ネイサン。彼は何をもって、AIを完成としたかったのだろうか。
エヴァが自由を求める時点で自我は目覚めており、わざわざケイレヴを使ってテストする必要がないようにも思う。
それを言ってしまったら「そもそも」論になってしまうのだが(笑)
しかしケイレヴという第三者の目を通して、私たち観客もエヴァと対話できるのであり、彼女が次々発する言葉に、いちいち新鮮な驚きと興奮を覚える。
ネイサン、エヴァ、ケイレヴの心理戦、密室サスペンスは大いに楽しめたが、ネイサンが「建設作業員は口止めで殺した」というブラックジョークに引っ掛かる観客はそんなにいないだろう。
少し無理矢理サスペンスの味付けをしたようにも思える。
ケイレヴが自分もAIなのではと疑問を抱くシーンは「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」のオマージュだと思われ、SFファンの心をくすぐる。
人間とAIの違いは…あとは死を恐れる本能のみ。
エヴァが検索システムを利用し知識を蓄積していく過程で、世界中の死や暴力や危険な情報が彼女の思考や性格にも影響してしまったら…人間観察に飽きたあと誕生するのは、死の女神。
そんな嫌な予感がザワザワと胸に残った。
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