「秘密と相手への理解」二重生活 sdfghjklさんの映画レビュー(感想・評価)
秘密と相手への理解
「人はなぜ生きるのか」という論文の問いに対して、珠が出した最後の回答としては
「平凡で、穏やかで、裏切りも隠し事もウソもない。
ひたすら公平な愛だけで満たされている人生など、どこにもない。
人は苦しみからも逃れられない。
ほんの少し、その苦しみを軽くしてくれるもの。
きっと、それが秘密である。
理由のない尾行とは、他人の場所と立場に身を置くこと。
自分を他人と置き換えること。
すなわち、互いの人生、情熱、意志を知ること。」
これが
それは、人間が人間にとってかけがえのない存在となる、おそらく唯一の道ではないだろうか。〟」
と締められる。
実存とは何か。他人からの認識と事実は異なる。ただ一方で本人の認識がその事実と一致するとも限らない。複数の他人の意識と存在が、実存を作り上げる。ただ、一方でその現実が本人として受け止めたい事実かどうかは別。
一緒に同棲していた卓也は、事実と異なる認識で疑いを持ち、行為は実際はしていないホテルからでる珠をみて離れることを決意。
浮気がバレる石坂さんは球の尾行を奥さんの依頼と信じ、また最終的には違うことを知る。奥さんは自殺未遂をするが、最終的には仲の良さそうな関係の描写で終わる。
教授は珠の認識と違い、自分は孤独な生活をしており、最後に自分の母親がなくなることで本当に孤独になり、最後珠の論文を読んで自殺をする。教授の母親は事実とを知らないことにより、最後は幸せな最後を遂げる。
ソフィカルの言葉は「何ヵ月か前から、街なかで
見知らぬ他人の後をつけるのが習慣になった。
後をつけるのが面白かったからで、
相手に興味を持ったからではない」という言葉は相手への理解とは真反対の言葉を指してる。その行為は結末として全て不幸を作った。だからこそ、珠の最後の文章に繋がったのではないか