「何かを得、凄い事をやってのけたのだけど…」奇跡の2000マイル 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
何かを得、凄い事をやってのけたのだけど…
1977年、愛犬と4頭のラクダを連れて、約2700キロに及ぶオーストラリアの砂漠地帯を踏破した女性、ロビン・デヴィッドソンの回顧録を映画化。
人生を模索する若い女性の一人旅/自分探しの旅は、映画に打ってつけ。
辿り着いた先に見出だしたものは…
一人旅とは言っても、お供が。そのお供がやはり意表付く。
愛犬はまだしも、ラクダ! ユニークだが、旅の舞台である砂漠では心強い連れ。
その砂漠地帯やオーストラリアの殺伐とした地方の広大な映像。大自然の厳しさ、雄大な美しさを伝えるに充分。
旅に出会いや別れは付き物。
旅に出る前、ラクダの調教や譲ってくれた牧場主たち。
彼女の旅に興味を持ち、写真に収めたカメラマンの青年。
その一方…
旅の途中で、辛すぎる別れ。自らの手で、苦しむ欠けがえのない“相棒”を…。
このシーンは胸に迫った。
旅は過酷。旅と言うより、サバイバルと言ってもいい。
髪はボサボサ、肌は荒れ、身体中乾燥。
ミア・ワシコウスカが熱演。
ほぼ素っぴんノーメイクでいつもの白く透き通る魅力はかなぐり捨てながらも、それでもその美貌と魅力が映えているのはさすが。
体力的にも精神的にもキツい砂漠踏破の旅。
何故、こんな旅を…?
それでも旅を続ける。
旅の先には…
ミアの熱演や詩的な語り口や作風で、良質作である事に違いはない。
でも、自分好みで良かったかと問われたら…。
時折過去を交え、彼女の背景も描かれるが、旅に出るまでに至る経緯が今一つ弱く感じた。
過酷な旅と彼女の複雑な内面が一見リンクしているように見えて、ダラダラ淡々と盛り上がりに欠ける。
この作風は好き嫌い分かれる。
確かに凄い事をやってのけた。
彼女自身もこの旅の中で、何かを見つめ直し、何かを見つけ、何を大きく得ただろう。
しかし自分としては、この2時間弱の旅の中で、特別得るものは無かったかな…。