ブリッジ・オブ・スパイのレビュー・感想・評価
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冷戦・・
東西冷戦時代の話。アメリカとソ連は壮絶なスパイ合戦をしていた。アメリカで捕らえられたソ連の老スパイを法廷で弁護した弁護士にトム・ハンクス。ベルリンに渡り、ソ連に捕らえられたU2偵察機の米軍兵士の解放に動いた。1961年にベルリンの壁が築かれ、東西に分裂した当時の若者の様子。戦車が常駐し多くの兵士が銃を構える。東から塀を乗り越え、西へ脱出しようとする市民を銃殺する。アメリカ人の学生も捕らえられた。主人公の弁護士はその学生も何とか助け出そうとするが、果してその結果は!?上映時間の長さを感じさせない作品。冷戦とは核戦争か。現実味を出すために欲を言えばケネディ大統領の映像が映画の中に欲しかった・・
実体よりも、どう思われるかが大事な社会において、正しさとは何だろう...
実体よりも、どう思われるかが大事な社会において、正しさとは何だろうか。
ジムの行動は一貫しているのに、交換後の世間の評価は180度変わった。ハッピーエンドの雰囲気にありながら、実社会への問題定義とも感じられる。
交換が成功したのだから万々歳かと言えば、これもそうではなく、解放後の彼らの未来は保証されていない。ソ連側に迎えられる場面でのみ、アベルが緊張の表情を浮かべていたのは、その瞬間にやっと、今までの祖国への貢献が評価されるからであり、何十年もの人生の意味が決定されるからだ。
ジムは後部座席に乗せられたアベルを不安げに見送り、ジムに取っても全てハッピーとはいかなかった。
ただチャレンジし続けることが彼の強みだろう。彼の思う正しさを、合理的な選択だと他人に説得する力はすごいと思った。
また、彼は米国の憲法を守り、米国の人々の権利を尊重するという文化を守った。差し迫ったソ連の核の脅威より、もっと先の未来の祖国の在り方に重点を置き、外からの脅威より自国がどうあるべきかを考えたのである。世間はわかりやすい外からの差し迫った脅威に敏感になりやすいが、彼のような主張をする人に耳を傾ける必要性を感じた。
映画として、笑えて、考えさせられて、非常に満足した。
どの陣営にとって、どの捕虜が重要かが、考え方の基準によってころころ変わるというのが、この映画を端的に表していると思う。
偉業
凄い内容だった。
実話を元にと言う事だが、ホントにこのままの内容だったのだろうか?
時勢だったとはいえ、この立役者は一般人だ。優れた人物であったのは間違いないだろうが、KGBやCIAと渡り合うなど、生半可な肝の据わり方ではない。
主人公がマイペースに話しを進めていくから、何て事なく話を追ってはいくが、ふとした拍子に未曾有の穴に放り込まれそうな危機感を感じる。
命の危険はないのかもしれないが、後ろ盾や保証のない交渉による危険性って、もっとあってもいいようなもんだが…。
とにかくソレをあまり感じさせない。
「不安が何かの役に立つのか?」と劇中に幾度か主人公は問われたりするが、主人公が不安と感じるレベルは常人のソレとは一線を画してるかのようだ。
超高度な政治的駆け引きのはずなのだが、話しのトーンは、SRカードを交換しようよとやってるくらいのトーンだ。
猜疑的な視線も、汗のしたたりも、生唾を飲む事さえない。
追い込まれてます感を一切出さないから、そうなってるんだろうが…事が成就した時くらいはその反動を表現してもいいようなもんだが…しない。
そして、この主人公が擁護しようとしてるスパイがリアルじみてていい。
叔父さんなのだ。
ベルサーチとか着ないし、ハマキをくゆらしもしないし、女性を口説きもしない。
この人物が…また…いい人そうで、ナイスなキャスティング!
そして、橋の上で、彼は同胞にハグはされなかった。
後日談はテロップとして流れるが、真実は知る由もないだろう。
とにもかくにも、ちょと感じた事がないスリルを味わった作品。
冷戦下の東ドイツの描写とか背景とか、凄く作り込まれてて息をのんだ。
レベル高くて、邦画が霞むね。
コーエン兄弟が脚本に参加しているという点と、友人が良かったと言っていたの見てみることにしました。
結果、とても良かったです。
音楽でやたら盛り上げないし、
台詞が粋だし、
泣かせ演出ないし、
それでいて絵でいろんなことがわかるように作られているし、
サスペンス感もあるし、
満足しました。
スピルバーグ、面白いんですね。そういやリンカーンもスピルバーグでしたね。社会派のは見たい類ですね。
こんな上質なの見てしまうと、似た系統の邦画がとんでもなくかすむやないですか。
やはり、映画はハリウッドが最先端なんだなーて思いました。
ソ連のスパイの人と、トムハンクスが信頼を持ち合う直接的な描写はないんです。
でも、少ない台詞と表情と小道具(始め断った絵具を差し入れた)とかで読み取れます。それもわざとらしくない。画面の端っこでチラリみたいな所がね、いいなーと。
あとは、「不安は?」「役に立つのか?」のやり取りが、いいなと思いました。その短い台詞で人柄の奥行きが感じられた気がしました。
ドノヴァンも、10人の被害者がいようと保険は1つの契約なのだから一件ですよ、とか、そうゆう話術が面白かったです。あなたの国の名前は長いからソ連でええでしょとか、ね。
冷戦時代、それもキューバ危機の前っぽかったですが、法治国家で民主主義を採用するアメリカでさえ、敵は死刑でオッケー!と判事さえも疑い無く思う時代だったのですね。
その時代にあって、捜査令状のない捜査は無効と言えるリテラシーの持ち主は、今から見ればしごくまっとうですが、大変嫌われたようです。命さえも狙われるのですね。
物語としての面白さと、歴史の一側面と、その中に生きた個人の考え、生き方、個性が、味わえる良い作品だと思いました。
国境を超えた橋の向こうには…
一月も半ば過ぎたけど、新年最初の劇場鑑賞は、監督スピルバーグ×脚本コーエン兄弟×主演トム・ハンクスというお年玉級の豪華コラボ作。
冷戦時代、互いの国に捕らえられたソ連スパイと米パイロットの交換交渉に挑んだ弁護士の実話。
「世界仰天ニュース」か「アンビリバボー」か、歴史に埋もれた逸話。
前半は控え目ながらもソ連スパイ、アベルの逮捕とドノヴァンが弁護を引き受ける過程を丹念に、重大な任を背負いドノヴァンが東ベルリンに赴く後半はスリリングに、米軍機撃墜のスペクタクル、最後は和平への祈りを込めて後味良く、充実の社会派エンタメに仕上げたスピルバーグ演出は文句の付けようが無い。
一見固そうな題材を、巧みな展開と際立つ人物描写とちょいちょいのユーモアで表した脚本は、コーエン兄弟だからこそ。
142分飽きさせない…と言うより、つまらない訳がない。
言うまでもなく、トム・ハンクスは巧い。
ごく普通の弁護士が重大任務に挑む苦悩と信念を、人間味豊かに魅せる。
トム以上に大金星は、マーク・ライランスだろう。
しょぼくれた風貌はとてもスパイには見えないが(と言うかあんなカッコいい某スパイ居やしないけど)、哀愁漂う佇まいは画になる。
彼が自身の体験を踏まえドノヴァンに贈る言葉“不屈の男”には胸打たれる。
非の打ち所が無い名演。
(でもオスカーはスタローンは応援している、ゴメン…)
米ソ冷戦、資本主義対共産主義…と言われてもあまりピンと来ないのが本音。
結局は国と国の都合の争いで、民間人はその巻き添えを食う。
強引に敵国スパイの弁護を引き受けさせられ、世間から批判の眼差し。
東ベルリンへの赴きは命の安全も国の保証もナシ。
何故こんな危ない橋を渡る?
敵国だろうとスパイだろうと法の前では一人の人間。公正な裁判を受ける権利がある。
事務処理的に有罪を決めようとする国への訴え。
米パイロットと交換という当初の目的に、突然米留学生逮捕の報せ。
米パイロットだけに固執し留学生は切り捨てようとする国に、二人の救出を実現させようと奔走する正義。
クライマックス、アベルはドノヴァンにある贈り物をする。
アベルの目にははっきりと映っていたのだ。
国境という橋を超えた、“不屈の男”の姿が。
新年一発目から良作!
と言うか今年は1月2月だけでも、スピルバーグ「ブリッジ・オブ・スパイ」、ギレルモ・デル・トロ「クリムゾン・ピーク」、ロン・ハワード「白鯨との闘い」、ロバート・ゼメキス「ザ・ウォーク」、リドリー・スコット「オデッセイ」、タランティーノ「ヘイトフル・エイト」などなどなど名匠たちの豊作ラッシュ!
震えた
前半は登場人物をなかなか覚えられなくて、わかりずらいところもあって、ちょっと眠くなってしまったけど、ベルリンの壁が作られてるところへ主人公が赴くあたりから一気に緊張感が上がり、橋のシーンで体の震えが止まらなくなった。
自宅のベッドで突っ伏して眠っている姿でボロボロ泣いてしまった。
最後に一気に感動がドーン!と来るタイプの映画を久しぶりに観た気がする。映画はずっと面白くなくってもいいんだと思った。
主人公が偉大過ぎて泣けた。
最後の字幕でまた泣けた。
スパイに対する扱いが、ソ連側の方が冷たかったのはアメリカ映画だからなんだろうか。少し気になった。
とても良かった
第88回アカデミー賞6部門ノミネート作品(作品賞、助演男優賞、美術賞、脚本賞、作曲賞)ということで観ておきたくなり、観たらすごく良かった。
トム・ハンクスは結構役の演技に振り幅をもたせられるのが良いところで、その良い部分が今回よく出ていた。
やはり戦争、政治ものは映像で観てこそリアリティを感じられるのでたまに観ないとダメだなと思った。
例えば戦闘機で被弾するシーンは映像で観てこそ息を呑む緊張感を感じる。
プライベートライアン然り、ああいうリアリティのある映像を見せられると戦争について真剣に考えざるを得なくなる。
戦場のピアニスト程のショッキングな映像はなかったが、それなりの重さは十分に感じられたので良かった。
アベル役のマーク・ライランスという役者の演技がとても良く、初めて見た役者だったので目立っていた。彼が助演男優賞にノミネートされたようだ。
脚本も良かった。最初は法廷ものかと思ったが、その後にも国家間の橋渡し役として緊張感のある内容が続いた。
前半は陪審員や無知な大衆の無責任さが問われるなど、現代でも重要な様々なテーマが要所要所に潜んでいて良かった。
ただ、事実にインスパイアされた映画とはいえこれもあくまでアメリカ映画であるという中立の目線を忘れずに観ておきたい。
あと、内容には関係がないが、折角内容が良いだけに、日本版ポスターにセンスが無さすぎるのが非常に残念。
民主主義って素晴らしい
立派な方は居るものですね。自分の家族が襲われるような事態になっても法に則ってスパイを裁く弁護人。自分はルールを曲げて大多数の空気に迎合してしまうだろうな、と弱い自分を見つめ直す機会を与えてくれる
ハラハラドキドキ゜
実在の話しだけに、普通の弁護士が、こんな重い仕事を良く引き受けたなと思いました。現代は衛星を飛ばしてスパイするので、人的被害はないのですが....。又、交渉人を生業にする人も居るようです。スパイ役の俳優が淡々として、いい味をだしていました。本当のスバイって、目立たないごく普通にしか見えない人が任務に就くのですね。スパイを主人公にしたアクション映画を見すぎているせいか、逆に新鮮でした。偽家族には笑えた。
冷戦 ベルリンの壁 スパイ
冷戦下でスパイと疑われた者を弁護することは、裁判のルールとはいえアメリカの敵と思われている。中傷に屈せず、正義、公正の原則を貫く主人公は正に不屈だ。
テンポ良くストーリーが進み、引き込まれる。
すでに戦争が終わって15年ほどが経過しようとしているのに、東ベルリンはまるで廃墟で、その中で壁が建設されていく非情さが伝わってきた。
平和的解決を導くのは、その誠実さ
1950年代後半の冷戦時代に、アメリカとソ連の人質交換の立役者となった弁護士の実話を映画化。
良い映画だったな〜。
たとえ、敵国のスパイであっても、依頼人となれば、彼の人権を守り続ける弁護士ドノヴァン。
決して思想を押し付けることなく、徹頭徹尾仕事に忠実で、誠意ある彼の行いは、人を動かし、平和的解決を呼び込む。
そんな彼の人柄と、仕事っぷりが買われたのか、この映画の出来事の後、彼はケネディ大統領の命でキューバへ行き、アメリカ人解放の交渉人になったという。
もしも、彼が今生きていたら、グァンタナモに拘留されている人たちを見てなんと思うだろう…と、考えながら見ていた。
グァンタナモに限らず、思想が違う、宗教が違うというだけで、不当に拘留されている世界中の人たちの窮状を考えずにはいられないところに、この映画の素晴らしさがある。
人は歴史から学ばずに、後退しているのか…
監督は、スティーヴン・スピルバーグ、脚本は、コーエン兄弟、主演は、トム・ハンクス。
鳥肌立った
法廷ものかと思ったら粘り強い交渉映画になったので驚いた。立派な功績をした立派な人物をきちんと讃えようという意図で作ったと思うのだが、それが存分に感じられる素晴らしい出来栄えでなおかつとても面白かった。コーエン兄弟の脚本も素晴らしかった。
今まさに壁ができんとしているベルリンの様子がすごい。東ベルリンの寒々しい感じが身も凍るほどだった。
ソ連のスパイのおじさんのメンタルの強さが素晴らしい。トム・ハンクスともどもまさに不屈の男であった。
全てやり遂げてベッドに突っ伏している場面で鳥肌が立ってしかたがなかった。
信念を貫き通す
トム・ハンクスが格好良い男を演じる。
政府の後ろ盾が無いまま、それでも自分の仕事を全うすると言う何とも凄い人間。
これが史実に基づく話だというのに驚く。
静かなる戦争映画。
アベルがドノヴァンの為に待つ事を選択する所と、
家族が報道により初めて父親の仕事を知る所と、
スピルバーグ作品では当たり前の泣き所も有り。
長めの話だが、飽きる事なく見続けた。
面白いが、長い。
タイトルにスパイとあるが
「スパイもの」では無く「法廷(交渉?)もの」である。
1950年代の世界観が良く再現されていて
ストーリーに説得力を感じた
特に建設中のベルリンの壁は、興味深かった。
要所に軽い笑いがあるのは、とてもワタシ好み。
終盤のヤマ場で
トム・ハンクス演じる主人公が
「自分の努力は、信頼していた人に不幸をもたらしたのか?」
と、いう表情を見せた場面で泣けてきたが
エンディングの「その後のエピソード」を見て・・・!?
良い作品で楽しめたが、とにかくムダに長い
最近のスピルバーグは、観客を信頼してない様に感じる
「多くの人には理解されないが、人知れず偉業を成し遂げた」
では、観客は感動しないと思ってる様だ。
スピルバーグ&ハンクス最高
東西冷戦がどういう状態だったのか、実体験はないですが、映画の中でソ連、東ベルリンの素晴らしい描写を見ると、さすがヒットメーカーと感じた。クライマックスの電話のシーンや帰宅後のニュースなど、スティーブンっぽくてよし。
全体的に楽しめました^_^
It means like a standing man...standing man. スピルバーグxトム・ハンクスで魅せる冷戦ドラマ
特別に派手な場面はない冷戦時のヒューマンドラマでした。名優トム・ハンクスが自分の信念に真っ直ぐな不屈の弁護士を演じています。裁判のシーンはわりとざっくりと終わってしまうので、やはりスピルバーグが見せたかったのは後半部分のベルリンでの交渉の場面でしょう。
ドイツでベルリンの壁が建造され分断されていく描写は見事に再現されていました。もはや冷戦が教科書の中のお話になっている世代の自分としては、当時の緊張感が伝わってくるシーンだったと思います。
スピルバーグって年齢と共に随分と渋い映画を撮るようになっているなーと感じました。お得意だったビックリさせる演出が全くない(笑)。トム・ハンクスは安定した演技でしたね。何をやらせても様になっています。昨年カーリー・レイ・ジェプセンの「Really like you」のPVに出てた時は「何やってまんの!?」っと思いましたが、こういった良作で主演をしている所を観ると安心します。ソ連のスパイを演じた俳優マーク・ライランス、抑えた演技が印象に残ります。ドノバンとの静かな友情が何とも良い感じです。
史実がベースなだけに物語は比較的に淡々と進んでいくのですが、冷戦下の時代を上手く再現した歴史物の良作でした。
_φ(・_・歴史は静かに淡々と進む
一番最後に観た映画が『ギャラクシー街道』だったので、今日見る映画は外す事が出来ず、宇宙戦争か橋の上の・・・で迷いましたが
後者をチョイス。正解でした。
冷戦下のスパイ交換の話なのですが、ハラハラするところもなく極めて静かに淡々と物語が進むのですが、これがs監督の
撮り方の狙いなのだと感じました。ハラハラドキドキは007を見ればいいだけで冷戦下の現実を感じる事ができました。
ソ連スパイのアベル役とてもいい演技でしたし、もちろんトムハンクスはいい役者ですね。
捕虜交換がされるわけですが、その後の二人の人生は大変だったのだろうなと思います。特に最後、アベルが仲間の車に乗せ
られるところは何だかかわいそうだなと思いました。
米ソ冷戦は軍拡競争になりソ連が崩壊するわけですが、世界にはこの事実を認めず懲りずにミサイルを打ち上げる国があるのには
残念でなりません。
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