「正直、ここ数年で最高でした。」ブリッジ・オブ・スパイ Ka:lNさんの映画レビュー(感想・評価)
正直、ここ数年で最高でした。
まずひとこと、素晴らしかった。
2005年の「ターミナル」以来、スピルバーグとトムのタッグ、映画ファンなら言わずもがな期待大。
あえて今回はストーリーや予告編を見ずに鑑賞。タイトルから、「トム・ハンクスが今更スパイ役??トム・クルーズじゃあるまいし…」と思っていたが違った。今回トムはスパイを救う弁護士役。最近、スクリーンで彼を見ると必ずスーツに上質なコートを纏っているが、今回も抜群にハマり役。かっこいい調停人でありかっこいいパパ。まさに〝Standing Man〟(劇中で明らかに)。
なんといっても脚本がいい。矛盾のないストーリーながら、また少し難解ながら140分超と近年の映画では珍しいが流れるようなストーリーで、疲れることなく見られた。それもそのはず後で調べれば脚本はあのコーエン兄弟なのである。
ただ、鑑賞するにあたっては冷戦時代の米ソ、東独の関係や歴史背景を予備知識として持っている方がより楽しめると思う。当時のドイツの立ち位置、なぜドイツがこのような行動を執るのか、ベルリンの壁とは何の象徴か、知っていればなおさら楽しめるだろう(ただ東西独の描き方はやや独特。。笑)。
最高の作品なのだがひとつ不満がある。字幕である。スピルバーグは比較的ピリピリした映画の中でも少しのユーモアを交えたりするが、今回の映画でもそれはあったものの、字幕に反映されておらず、終始ピリピリした映画だと受け取る人が多いだろう。英語が少しでもできる方はぜひ英語のセリフを聞きながら楽しんでほしい。
スピルバーグ、コーエン兄弟、トムの最強の布陣での作品。間違いなく2010年代の名作となることだろう。名匠スピルバーグの衰えは未だ感じることはできないようである。今後の彼にも大きく期待したい。