ディズニーネイチャー サルの王国とその掟のレビュー・感想・評価
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サルたちに見習え
ディズニー製動物ドキュメンタリー。
今作は、サル。
スリランカの古代遺跡近くのジャングルに棲むサルの群れ。
好きな時に食べ、好きな時に寝、自由気ままな暮らし。
サルと人間は似ているとよく言われるけど、全然サルの方が気楽で羨ましい!…と思うのは早とちり。
確かにサルと我々人間は似ている。我々人間は厳しい縦社会で生きているが、サルだってそう。…いや、寧ろ、サルの方がもっと過酷。とてもとても羨ましいなんて言えやしない。
サル社会の絶対的存在は勿論、ボスザル。
ナンバー2が、そのメスザル。この群れでは3頭居るメスザルが影の権力者。言わば、女帝。
サルの世界にもあるヒエラルキー。
その最下層のサルたちには、何の力も何の権限も無い。絶対服従の奴隷。
餌はボスザルや女帝たちの食べ残しやおこぼれ。縄張りに少しでも入ったら痛い目に遭い、自分の居場所など無い。
主役ザルは、最下層の一頭のメスザル。
満足に餌にもありつけず、女帝たちにこき使われる毎日。
女帝たちがお昼中は女帝たちの子供のお守り。これがとんだクソガキ!
でも、叱る事は出来ない。何故なら、自分は底辺の存在でクソガキどもは女帝たちのお子ちゃま。どんなに悪戯されようと堪え忍ぶ。
これが人間だったら相当エグい。サルもつらいよ。人間で良かった…かも。
そのメスザルに思わぬ出来事が。
はぐれオスザルとの間に子を宿す。
晴れて母ザルに。
が、喜んでばかりいられない。ここからがさらに大変。
つまり、貧しい暮らしの身寄りも頼れる相手も居ないシングルマザー。
子供のお乳の為に必ず毎日餌を食べなくてはならない。毎日がほとんど子育てと餌探し。
時折女帝たちの陰湿な嫌がらせにも遭う。我が子を連れ去られたりも…。
このドロドロした女の修羅場は、大奥以上。
でも、全ては可愛い我が子の為。
懸命に育て、愛情を注ぐその姿に、我が子を虐待する人間の親どもは爪の垢を煎じて飲むべき!…いや、飲め!
過酷な暮らしの中でも、たまにいい事は起こる。
年に一回の羽アリの大群。この時ばかりはボスザルだろうと女帝だろうと最下層だろうと関係なく腹いっぱい餌にありつける。
いよいよ餌に困った時、危険を承知で人間の世界へ。見た事も食べた事も無いものがいっぱい!
最下層のサルだから知っている、水場も食べれる餌が。が、そこには危険も。腹を空かしたオオトカゲが彼らを狙う…。
群れに遂に重大事件が起きる。
敵対する群れとの抗争。
世代交代、新しいボスが台頭し始める…。
サルたちの暮らしと言うより、これぞ本当のサバイバル。
生きるとは、熾烈で過酷。
そんな中で、親子ザルの関係にほっこり癒される。
だからこそ、より強く逞しく、生きていくんだなぁ…。
それらに比べれば、人間の暮らしなんて恵まれ過ぎている。本当に見習わされる。
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