劇場公開日 2016年4月23日

「山河故人」山河ノスタルジア Socialjusticeさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5山河故人

2020年10月20日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

はっきりいって感情を移入することが難したかった。あらゆることが中途半端になっていて、一つのテーマを継続していないから、観終わった後、さあレビューを書こうという気になれなかった。

まず、これが中国の映画かもなにかも知らないで予約して、いざ、DVDを取りにいったら、
中国語で『山河故人』と書いてあった。監督や俳優の名前もまったく馴染みがなく、まあ、観てみるかと軽い気持ちでみ始めた。

個人的に、中国の文化大革命あたりの映画に感情移入ができるし、好みである。一般論だが、中国人の、特に女性の力強さは文革の歴史からきていると思っている。それに、四十年前に中国を訪問したことがあって、それに私の故郷ではないが郷愁のようなものを感じるし、批判を浴びるかもしれないが、批判承知で、日本人のルーツだと感じている。

この私にとって、文革時代の良さを1999年以降の文化のなかで見出すのが難しかった。この時代は監督の言うように中国の端境期で、モダン中国に変わっていった時代らしい。技術だけでなく、人間の心より、金を稼いでアメリカ流の、資本主義を好む時代に突入していった。この時代にタオは伴侶として、リャンを選ばなかった。タオが自分で選んだ道だが、山西大学の法律科を卒業して実業家になったジンシェンの富の魅力に勝てなかったのではないかと思う。しかし、愛するもの全てを失ったなかでタオが生きていくところは文革のなかで生きていった人を思い出した。

炭鉱夫のリャンは石炭のようにモダン中国から取り残されていく存在だった。かれの控えめな性格も。ここをもっと描いてくれたら、私好みの映画になったのにと思った。

山西省・汾陽(フェンヤン)は監督の故郷だそうだ。映画の始め『黄河』とサインが見えて、黄河の雪解けのとうとうと流れる河に引き込まれそうになるくらい美しかった。素晴らしくて、私の知っている中国が汾陽(フェンヤン)で見て、見つかるかなと期待した。

タオが餃子を作っている時、『タオ』と言う声で彼女は振り返った。このシーンが我々に、息子との巡り合いの希望を持たせた。
最後のシーンで、リャンがGo West を一人で踊る美しいシーンがあるが、いままでの人生を『故人』しているが、『山河』のように人生は続いていくと思わせた。

それに、この2曲の対比はwestに行くか、伝統に戻るかの端境期にぴったりの選択だと思った。
https://www.youtube.com/watch?v=LNBjMRvOB5M Go West
https://www.youtube.com/watch?v=ZVeT_xoGm9Q サリー・イップ の珍重

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