「ダメ男と優しい女」お盆の弟 よしたださんの映画レビュー(感想・評価)
ダメ男と優しい女
脚本がいい。四十過ぎのどうしようもない男たちの会話がテンポよく、なおかつ皮肉が心に突き刺さる。その内容たるや、具体的なことに欠けており、電車内などでサラリーマン諸氏が熱く語るものにも似て寒々しい。
その寒々しさはチープな自尊心と独善からくる。まったく社会や女性を甘く見ていて、他力本願がその心根から払しょくされない。しかしこれらの男を観ている大方の観客(男)もまた、彼らと変わりのない情けない男なのだ。
河井青葉と渡辺真起子が素晴らしかった。男の狡さ、小ささをそのまま受け入れて自分の人生を切り拓く、強くて優しい市井の女性を演じていた。これこそ弱くて馬鹿な男の理想だと思う。
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