ある取り調べのレビュー・感想・評価
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【妻子を手に掛けたと主張し、死刑を望む男と彼の背景を取り調べ室で聞き取り真実を追求する刑事の姿に魅入られる作品。今作は、佐藤B作の熱演と脚本の秀逸さが際立つ作品である。】
■妻、幸子とパニック障害を持っていた子供勇一を殺害したとされる容疑で逮捕された男、松田和夫(佐藤B作)が連行されてきた。
死刑になって殺した妻と子供のもとへ行きたいと懇願する松田和夫。
そんな彼を取り調べることになったベテラン刑事テジマ(中西良太)もまた、鬱病の妻を抱え家庭崩壊の危機にあった。
そして取り調べの段階で、次第に事件の真相が明らかになる・・。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・松田和夫演じる佐藤B作の、渾身の演技が身につまされる作品である。
・だが、彼も取り調べるベテラン刑事テジマ自身も母が認知症になり、困惑している姿が序盤に描かれる。
■途中で、観ていて事件の真実が推測できるのであるが、それを突っ込むのは野暮である。真面目に印刷工場で長年勤めていた松田和夫が、会社を辞めた理由。
それは、知的障害を持って生まれた勇一の看護生活に疲れた妻、幸子を助けるためだった事が判る取調室での刑事との遣り取り。
<今作は、2015年に公開された映画でもあるが、現代でも根本的な解決策は見出されていないテーマを密室劇に集約した作品である。
余り、知られていないようだが、個人的には現代に通じる重い問題を描いた作品であると思った作品である。>
ベテラン取調官の真実引き出し術
中盤位までは何らかの啓蒙ドラマなのかといぶかしげに視聴。
知的障碍児の家庭内看護で追い込まれる家族の話、あるいは仕事中毒公務員との結婚生活に疲れ果てる妻の話とか・・・
しかし、終盤になって犯人の自供の不自然さをぐいぐい攻め立てる刑事の描写からエンドにかけての展開で「取り調べヒューマンドラマ」を見せたかったのだと合点。
極低予算、室内固定セット主体ながら一点貫通主義である程度の深みを演出できていたのではと感じましたね。
雨音が心に響き
こんなに重くて暗くて悲しい映画なのに、気がつくとアッと言う間の90分でした。
この様な内容だと、普通は辛くて見ていられなくなるのですが、其処には愛があり、優しさがあり、労りがあり、観ている者を包みこんでくれる温かさがあるのです。
回想シーンは出てきません!必要が無いからです。
普通、必ず目を覆いたくなるような回想シーンが出てくるはずなのですが、この映画には、そんなものはありませんでした。
台詞だけで充分伝わって来ました!
また、役者さん達が本当に上手です。
雨の音が効果音として使われているのですがとても良いです。
挿入音楽も同じ曲が何度か使われていて、それも良かったです!
強いて言うなら、後ろに流れる音楽がもう少し主張されない方が良かった様な気もしました。でも、こんなに泣かされた映画は久しぶりです。見終わった後もしばらく涙が止まりませんでした。沢山の方に観て貰いたい映画です。
演技力!
ほぼ取り調べ室ワンシチュエーションのみの映画。
映画だからこそ観られる表情の素晴らしさやリアルなシチュエーションがありつつ、舞台の様な迫力や臨場感があった。
派手な演出は何もないけれど、柔らかく、熱く、悲しく、切ないやり取りが繰り広げられ、作中に引き込まれてあっという間の90分。話し自体にもの珍しさはないが、演技力と間に魅せられた。
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