劇場公開日 2017年2月24日

「前半まるごと後半への布石」ラ・ラ・ランド つとみさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5前半まるごと後半への布石

2023年11月5日
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鑑賞方法:DVD/BD

セブとミアが並んでピアノを弾くシーンまでの、約半分にもわたる前半部分が恐ろしいほど退屈だった。
歌も本格ミュージカルに比べて微妙だし、そもそもほとんど歌わないし、少々チープに感じる色使いもなんとなく不快だった。

DVDだったので一度止め、ここまでの前半を一緒に観ている妻に対して散々にこき下ろした。
後半、怒濤の展開らしいよ。と助言をもらったが、恋愛映画で怒濤の展開っていっても限度ってものがあるでしょ?
少なくとも私の常識では後半に如何なることが起ころうとも、この前半のつまらなさを覆して高評価になるなどあり得なかった。そう「ラ・ラ・ランド」を観るまでは。

上に書いたピアノのシーンを境に、脚本も手掛けるデイミアン・チャゼル監督は魔法をかけた。
ストーリー、状況、キャラクターの心情などを繰り返したり交錯させたり、目に見える事から目に見えないことまで、あらゆる角度から刺激してくる奇跡のような演出と脚本は、間違いなく「怒濤の展開」だった。

そしてラスト10分、魔術師チャゼル監督は更に追い討ちをかける。怒濤より上の表現ってどんなものがある?思い付いたのならそれだよ。

観賞後に、この魔法を紐解くべく色々と話し合ったが、おそらく半分くらいしか理解できてない気がする。
物語の物理的な高(高台)と低(地下)、ミアの車、色、メタファーにメタファーを重ねて繰り返し、交錯させ、複雑な脚本を構築してみせた。
瞬間的な面白さも充分だが、噛みしめるように後からくる面白さもあり、もう驚きしかない。

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つとみ