「主演2人の最後の表情の為の映画」ラ・ラ・ランド s kさんの映画レビュー(感想・評価)
主演2人の最後の表情の為の映画
ララランドは、全ての「夢を追った事のある人」への讃歌のような作品だ。
2017年の話題の中心作だったので、観てみたのだが、
前半の展開は余りにも拙かった。正直少し寝た。
特に前半の話なのだが、ミュージカル映画における「作中の物語の進行」と「歌」「音楽」「ダンス」が、映像の中で乖離している。
ミュージカル映画において、歌うシーンは「その場で本当に歌っている」か「現実を脚色し、心象風景を表している」の2択になるのだが、前半の歌唱シーンは、どちらとも捉えられない、曖昧なものになっているように感じた。
そのせいで、感情と表現が離れてしまい、観ている側はおいて行かれてしまう。
素直な気持ちで見れば感じないのだろうが、歳を重ねた天邪鬼なおっさんが見ると、そんな感想を持ってしまう。
ただ、後半からの盛り上がりは非常に素晴らしい。
この物語のテーマとも言える「夢を追う事」に対する考え方。
主演2人が、何を目指していたのかを言い合うシーンは、一度でも夢を追い、そして諦めた経験のある人には刺さる内容だ。
最期のifストーリーのような走馬灯とも言えるシーンは、まさにブロードウェイ的表現を映画に上手く落とし込んでいて、非常に気持ちが良い。
最後の主演2人の表情を見る為の映画なので、前半1時間弱は我慢の時が必要だ。
ただ、使われる音楽は質が高いので、中盤になれば気持ちよく物語を楽しめるだろう。
ラストのエンドロールの入り方が、セブのカウントと共に曲が入る演出があれば、ノスタルジーが高まったのに、そこは残念。
エンドテロップのthe Endの入れ方を、カウントありきの演出にしておけば、文句のないエンディングだっただけに歯がゆい。
後半だけなら☆4程だが、前半と併せると低めの点数となった。
ただ、観て損をするような類の映画ではない。
特に映画の世界に生きている人には、多分な共感を与えられるだろう。