劇場公開日 2017年2月24日

「天才の証明へ王手」ラ・ラ・ランド オレさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5天才の証明へ王手

2017年4月6日
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鑑賞方法:映画館

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LAにて女優を目指すミアと古き良きジャズを愛し、いつか自分のジャズバーを持つことを目指すセバスチャンの夢見る2人を描いたミュージカルラブコメディ。

第74回ゴールデングローブ賞にて7部門ノミネート、7受賞、第89回アカデミー賞にて史上最多タイ14部門ノミネート、6部門受賞と2月公開にして早くも2017年度最高の一本と評されていた今作。
前評判の高さ、ラジオから流れてくる楽曲のクオリティなどからミュージカルほぼ観たことないくせに引くくらい楽しみにしていた笑。
こんだけ楽しみにしてて自分に合わなかったらどうしようとひたすらエマストーンが出てる映画を観て落ち着こうとしていたよくわからない自分が一時期存在した笑。

とりあえず順に褒めちぎっていこうと思う笑。

まずキャスト。
女優の卵としてオーディションを受けまくるミア演じるはエマストーン。
オーディションに落ちまくり、意気消沈するも気分転換がてらにドレス着てパーティーに向かう能天気さや無名かつ宣伝不足な独り舞台に来た客が10人そこらしかいなかっただけで女優を諦めるメンタルの弱さをやたらと批判されているのを見かけるがそんなことはどうだっていいのです。
なぜなら可愛いからです。可愛いは正義だからです笑。
お得意のキュートな変顔を今作でも披露。パーティーにて演奏していた、セブが加入しているチープなバンドに曲をリクエストしてノリッノリで躍るシーンが最高にニヤニヤできます笑。
セブに恨みっぽい目で見られるもなんのことやらといった感じで自分を指差すシーンを引き延ばしてポスターにして自室に飾りたいくらい好きです笑。

そしてそのお相手セバスチャン改めセブことライアンゴブリング。
ジャズを愛するがあまりにその素晴らしさを熱弁する様子はバリバリのオタク笑。予告編の様子から真摯な役柄なのかと思いきや意外とファッキン罵りまくる言葉遣いでむしろ好印象笑。
驚いた時の演技がやたらと派手でもはや若干飛び跳ねてる笑。かと思いきやアカデミー賞の時にも目の前にあったカメラが突然空へ飛び上がった瞬間驚いてビクっとしていてあれ演技じゃなくて素ではないのかと感じた笑。

次に色遣い。
めっちゃ鮮やかな色彩センスで作品を華やかな出来に仕上げている。
冒頭の高速道路の渋滞シーンやパーティーのダンスシーンなど目が覚めるような赤青黄緑とカラフルなシーンの連続で観てるだけで楽しいとはまさにこのことと思わせる。
パーティーに向かいながら夕焼けを背にスカートを振り回すシーンやこれまた夜景を背に踊るミアとセブのシーンが最高!
この色彩を心理学に応用して登場人物たちの心情を考察するみたいな見方もできるらしいけどそこまで頭回らないです笑。
とにかく綺麗な映像がたくさん!
今の時代の映像美とは一味違った美しさを魅せてくれる。

そして何よりも音楽。
ミュージカルとかよくわかんない急に歌い出すとかムリ人間を一瞬にして虜にさせる冒頭の高速道路でのAnother Day Of Sun、嫌なことはパーティーに行って忘れちゃおう的な能天気チューンSomeone In The Cloud、舞い上がったセブが思わず人妻のおばちゃんと踊り出すCity Of Starsなど良曲ぞろいの楽曲でシーンを彩る。
ミュージカル映画とあって音楽の良し悪しは重要なポイントだが今作に関しては文句の付け所がないほどに曲が素晴らしい。
この音楽を担当したジャスティンハーウィッツと監督のデミアンチャゼルは学生時代に出会った友人同士らしく今後も2人で映画を作っていくと明言したらしい。素晴らしいタッグだ。
とりあえずAnother Day Of Sunは大名曲だ。誇っていい(誰)

とにかくすこぶる良かった。
観る前に少しネタバレ的な情報を不本意に見てしまい、多分ハッピーエンドではないんだろうなと思いつつ観ていた。
ただ結末知っていることなど関係無しにあのラストの演出は素晴らしすぎた。
致死量の切なさと壮大さを併せ持った楽曲Epilogueをバックに鮮やかでスタイリッシュなミアとセブの仮の5年間をたったの5分そこらに詰め込んで表現したあのラストの演出は美しかった。ボロ泣きしたわ笑。あとラスト前のJ.Kシモンズの贅沢な無駄遣い最高。
フレッチャー大先生何やってるんですか!出番ほぼあそこだけじゃないですか!笑

ただのコテコテのラブロマンスかと思いきや気持ちのすれ違いの発端が目指す音楽性に関してだったりと意外と音楽的にも深くて難しい点を描いてるなとも感じた。
あと裏話的な点で、現代的なミュージカル×ジャズという今の時代では絶滅危惧種的扱いなテーマであるこの作品を実現するための資金や支持を集めるためにセッションの脚本を執筆したという話がとてつもなく好きだ。
いわばララランドはセッションを踏み台にして出来た作品とも言える。あの傑作を踏み台にして、だ笑。
デミアンチャゼルとジャスティーハーウィッツのコンビはセッションで異才、ララランドで秀才の証明は出来たはずだ。
あと一作、次の作品も傑作を生み出せたら本物の天才の証明になるはずだ。
32歳という若さもあいまって相当な期待とプレッシャーを感じているだろうが是非とも次の作品も素晴らしい仕上がりにしてほしい。

とりあえずDVDが発売になったら映像特典としてヤケ酒するセブと慰めるバーの従業員を描いてほしい笑。

2017年03月06日(日)1回目@MOVIXさいたま
2017年09月23日(土)2回目@目黒シネマ

オレ