「カーラジオに伏線貼っている気がする」ラ・ラ・ランド こめさんの映画レビュー(感想・評価)
カーラジオに伏線貼っている気がする
初っ端からミュージカル前回で明るくて楽しく夢が詰まっている雰囲気で「ヘアスプレー」を思い出した。
冬にミアとセブは出会い、春に恋に落ち、夏に愛し合い、秋に別れを告げ、また冬に再会する。という文にすると他愛もないストーリーだったけど、見ているうちに音楽やキャラクターにどんどん惹かれて行く一方だった。
ミアもセブも互いに昔からの夢があり、何度挫折しても周りから言われても熱意があれば夢は叶うと、互いに相手の成功を願ってたけど先に夢から覚めてしまったのはセブの方だった。でも若しかしたらミアはとっくに夢から覚めかけていたのかもしれない。冒頭のコーヒーがかかってしまったこと、審査員が無反応なこと、いろんな塵みたいなことが積み重なって、とうとう独り舞台後に観客から言われた言葉によって潰されちゃったんだなと感じた。
そんな中、あの傷ついた独り舞台によってまたチャンスが巡ってきて、ミアは夢を追い始めた。セブも応援するけど、2人は夢じゃなくて未来の話をし始め見ているうちに何やら不安がよぎった。「愛している」とお互いに言い合うけれどなんだかそれが最後の別れみたいだなと。
結局その通りに数年後、ミアは大女優として成功を収めセブではない男性と結婚し子供もいる幸せな家庭を築く。セブも自分の店を持ち、大盛況でジャズを復活させるという夢を叶える。でも夢も愛もすべて行くハッピーエンドではなく、夢がかなった先に互いがいないというエンドが切なかった。セブの弾くピアノから繰り広げられる理想的なエンドは過去に選ばなかった選択肢によるもので、もしあのレストランでセブが失礼なく対応していたら、キースの仕事を断っていたら、独り舞台でランプを消さなかったら…そんな未来が待っていたかもしれない。でもミアは夫ともに店を後にしようとし、セブの方を振り返り、セブもそんなミアを見つけそこで〈END〉の文字。
その後2人はどうなったんだろうと想像してしまう。若しかしたら心の奥底では相手への愛があるかもしれないけれど、「大人」になってしまった彼らはまた愛し合うことなく、再び会うこともなく自分の道を進むんじゃないかと思う。2人がまたくっつくにはミアもセブも背負うものが出来てしまったし、それこそ最初のカーラジオででた「恋に落ちたシェイクスピア」のように2人は結ばれない運命なんだろうな…。
見終わった直後だから言いたい事書き連ねすぎてまとまった感想が言えない。