「見る度に発見と魅了で満ち溢れている」ラ・ラ・ランド 青葉さんの映画レビュー(感想・評価)
見る度に発見と魅了で満ち溢れている
1回見た時、映像が早すぎて気になり2回見てようやくわかった。
けっこう長い映画で、一つ間違えば中だるみしそうだった。
それがラストの展開で一気に目が覚める!
映画という総合芸術の全てを駆使して作品をつくろうと、監督の意気込みが感じる。
それも現代的な若さとパワーでぐいぐいと引きこまれた。
まさに空想世界、ラ・ラ・ランド。
なにより映像と音楽が美しい。
パレットに流しこんだような色の多彩さ。
夕暮れの丘、ロスの街並み、ミアの色とりどりのドレスの綺麗なことよ。
切ないメロディと力強いジャズの音楽がロンドのように溢れる中、2人の心理描写を四季のシーン毎にばっさりと切っていく。
ミュージカル映画?音楽映画?なかば中間色映画。
元オリーブ少女が好みそうなワクワクするおもちゃ箱みたいなシーンがたくさんあった。
ミュージカルありきの押しきせがましさもない。
クラシック風と現代風の見事なハーモニー。
終盤、女が立ち寄った店の名に見覚えが。
5年ぶりの再会なのか。
女はカウンターパンチを食ったような表情。
男は静かにピアノを奏でる。
このシーンから一気に夢の世界=ミュージカルの世界に突入。
あの日、男のピアノの音色に惹かれて見つめた、もしあの時、男がキスしてくれてたら、実現できたかもしれない2人の未来。
なんだかな~哀しくて泣けた。
今、自分の体から心が抜け出して宙を舞い、巴里の絵画の中で男とダンスをする。
現実の女は映画の撮影で巴里に行き、男はツアーに出て自然消滅したようだが。
「あなたを一生愛してるわ」といいながら別の男と人生を共にしている。
後悔と懺悔のような女の切なさ。
それでも男は「再会できてよかった」といいたげでかっこいい。
ビタースィートなラストでした。