「ハマらなかった」ラ・ラ・ランド mriさんの映画レビュー(感想・評価)
ハマらなかった
念の為ハンカチを握って挑んだのですが、始終冷めた気持ちに…とにかくサムかったです。
冒頭のミュージカルシーンの、明るいのに感じる閉塞感は、LAで成功を掴むことに夢を見る人達の飽和状態と、羽ばたけるのは一握りという皮肉を感じ、ユーモア溢れるLAでの下積み生活なんかを期待していたのですが、LAやハリウッド感は皆無。
全く雑音のないストーリーの進み方に、私の鑑賞時のコンディションもあって、馴れ初め部分でうっかり居眠りかましてしまいました。
会話や些細な演出になんの捻りもなく、引き込まれる部分やこのシーン好き!みたいなのもない。
恋愛より夢を追いかける事を語るには、下積みやその苦しさ、地獄の要素が足りなかったのでは。
LAで成功したいならこの位じゃちっとも響かないし、もっと苦悩を掘り下げて欲しかった。
一人芝居の失敗なんて、企画時点で失敗が目に見えていたし…(大根とか言われてるのに、オーディションに抜擢されるのもドリーム過ぎて納得いかず)
そして二人のバックグラウンドがしっかり描かれていないので、夢っていうのもなんだかぼんやり。
ジャズへの姿勢も理想の女優像も伝わりきれていない。
なのに終盤ギリギリまで恋愛映画として進むんだから、何をやりたかったのかと。
恋愛部分もデート楽し〜って感じばかりで、すれ違い描写もさっぱりしすぎ。
確かにお互いの背中を押しあったのかもしれないが、人間としての成長が特に見られず残念。
他の登場人物が全く描かれてなく、始終二人だけの世界なのならば、もっと二人をしっかり描いてほしかった。
なんにせよ、恋愛もサクセスも浅過ぎる。
最終的に、5年後の二人が、今の自分があるのは元カレ元カノとの色んな思い出があるから〜という記憶による構成なら、記憶に強い部分だけ描かれてるのは納得だが、箇条書きされたプロットを単に映像化したダイジェスト映像のように感じました。
しかも季節で区切る割には季節感も無い。
とにかく最後まで誰にも感情移入できず(だってミアに魅力は無いし、なんか嫌なやつなんだもん)冷めた気持ちだったので、ラストの豪華な演出も響かずでした。
後は楽曲もダンスもミュージカル要素も特に驚きや感動がありませんでした。
元がブロードウェイミュージカルならまだしも、書きおろすには懐古趣味過ぎてインパクトに欠けました。
メインになるピアノの曲もそんなに良い曲と思わなかったので、大事なシーンで一致しづらかったです。