「新海誠に見せたい」ラ・ラ・ランド ふまさんさんの映画レビュー(感想・評価)
新海誠に見せたい
やりたい音楽より、稼ぐことを優先したセブは、途中までは過去作の死生観や運命の否定といったテーマを全否定して『君の名は。』を作り、売れた新海誠にダブるが、セブの違うのは、稼ぐのは本当の夢を叶えるための手段でしかなくて、ちゃんと夢に戻ってきたところ。「お前ら、魂売らずに、作りたいもの作れてる?」というすべての創作者に対してのメッセージが背後に隠されている。さらにはお互いの夢を叶えた代償として、運命の相手との愛を失う事になる点など、過去における新海誠のテイストじゃないか。新海誠はこれを観て大いに反省すべきだろう。信念を曲げなくても、商業的な成功はあり得た実例になっているのだから。『君の名は。』的な甘ったるいだけのラブストーリーを期待した観客は、ラストの余りの苦さに悶絶するだろう。遠距離恋愛中の人で、たまに会ってこの映画を観るのはかなりリスキーだと思ったほうがいい。
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