「王道」ラ・ラ・ランド Kjさんの映画レビュー(感想・評価)
王道
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製作者のこの話を描こうとする意欲に圧倒される作品。表情や演出の機微に伝えたい想いが沢山盛り込まれ、観る側に届けられる。最後には2人の人生に自らがのみこまれ、その切なさに涙が溢れてくる。
冒頭のシーンは、これからミュージカルに取り組もうとする宣誓を聞かされている感じ。その期待感に十分応える長回し。新しい技術には頼っているわけではない。伝統的な構成と技術でこれまでにない水準に到達。
音楽の使い方が終始、印象的ではあるが、春の訪れを知らせる、a-haのテイクオンミー。絶妙なアンバランス感。そしてその元凶に場違いなセバスチャンの姿あり。コミカルで気持ちが軽くなる。
LAの夕暮れを背景にしたダンスシーン。2人の距離が縮まっていく過程が、この美しいダンスシーンに凝縮されている。余計なロジックはいらない。男と女だから。映画を見ている2人の接近は映画館で観てるこちら側からは生々しく、プラネタリウムの星空に浮遊する2人はロマンティック。
キース、写真家、流暢な中国語、プリウスは皮肉。これらを悪く言う立場ではないが、この辺は監督の好みかな。
話はミアの夢追い人の歌へと収束する。この作品の中でも特筆すべき名曲、名演。感動せざるを得ない。そして最後に用意される怒涛のシーン。完全に持っていかれる。
美しく、愛おしい人生。彼らのその後の幸福を祈ってしまう。そんな優しい気持ちにしてくれる一本だった。
余談になるが、予告であのキスシーンは使って欲しくなかった。
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