「ジェイク・ギレンホールさん、キレました? 邦画かと見紛う程の辛気臭さ!」サウスポー たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
ジェイク・ギレンホールさん、キレました? 邦画かと見紛う程の辛気臭さ!
怒りに身を任せた結果全てを失った元世界チャンプが、愛する娘のために再起を図るボクシング・ドラマ。
監督は『エンド・オブ・ホワイトハウス』『イコライザー』のアントワーン・フークア。
主人公ビリー・ホープを演じるのは『デイ・アフター・トゥモロー』『ナイトクローラー』のジェイク・ギレンホール。
ビリーの妻、モーリーン・ホープを演じるのは『きみに読む物語』『アバウト・タイム 愛おしい時間について』のレイチェル・マクアダムス。
ビリーのトレーナー、ティック・ウィルズを演じるのは『プラトーン』『パニック・ルーム』の、オスカー俳優フォレスト・ウィテカー。
本作は要するにアンガーマネジメントの映画。
怒りに身を任せると全てを失いますよ、という警鐘をわかりやすい形で観客に届けてくれる。
主人公ビリーを演じるのは安心と信頼の男、ジェイク・ギレンホール✨
本作でも安定感のあるブチギレ演技を見せつけてくれます!……この人いっつもキレてんな😅
ジェイクの迫真三白眼は本作でも健在。彼の目の演技はもはや歌舞伎の見得みたいなもので、あの三白眼が飛び出すとついつい「ギレンホール屋!」と叫びたくなってしまう。
ボクシングの世界チャンプを演じる為に、バキバキに仕上げた肉体美は見事💪
『ナイトクローラー』のヒョロガリ男と同一人物とは到底思えない、スーパーマッチョな肉体に見惚れてしまいます😊よっ!ギレンホール屋!
ジェイクのファンとしては満足出来た部分もあるのだけど、はっきり言って暗すぎる🌀
アンガーマネジメントの重要性を描く為に、わざわざ奥さんを殺す必要あったのか?ただブチギレやすい男がついついキレすぎて身を持ち崩した、という方が観客としては受け入れやすかったと思う。
妻に死なれるというスーパー悲劇があまりに突飛すぎて主人公にノれない。感情移入するどころか逆に覚めてしまった。
大体、この奥さんが殺された事件はちゃんと解決したのか?結構投げっぱなしジャーマンでこの件終了しちゃったけど…。
負け犬のワンス・アゲイン映画は好きだが、矢印が下のベクトルを向いている時間が長過ぎる。
開始から1時間はひたすらビリーが破滅していく様子を見させられるので、かなり気が滅入ってしまった。
1時間過ぎたあたりでフォレスト・ウィテカーに拾われ、ついに復活に向けて矢印が上を向くのか!…と思いきやその後も暗くてジメッ〜としてる。
劇伴も終身辛気臭くて、全然FOO〜⤴︎!とアガる場面が無い。邦画じゃ無いんだから、もっと景気良く頼むわ。
タイトルにもなっているサウスポーだが、なぜビリーがサウスポーにスイッチしたのかがわからなかった。
ライバルでラスボスのミゲル。彼の過去の試合を研究した結果、サウスポーに弱いことが判明したとか、フォレスト・ウィテカーがビリーのサウスポーとしての資質に気付くとか、なんかそんなサウスポーにスイッチする理由となる場面が一つでも欲しかった。
ボクシング映画は爽快感があってなんぼだと思う。
あと個人的に暗い映画は好きじゃないのでスコアは低め。
悪い映画じゃ無いけど、もっと熱くさせてくれるものが欲しかったわね。