「追う立場のはずが追い詰められる不条理」リグレッション AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)
追う立場のはずが追い詰められる不条理
アレハンドロ・アメナーバル監督の過去作では「アザーズ」を思わせるゴシックホラー風味の演出で、じわじわと恐怖をあおってくる。ただし本作、一筋縄ではいかない。「アザーズ」のような大仕掛けはないものの、事件を追う刑事と同様、観客も思わぬ方向へと導かれていく。
刑事役のイーサン・ホークは、追う立場のはずが精神的に追い詰められていく緊迫感と焦燥感を的確に表現。エマ・ワトソンは珍しくダークな側面を感じさせる役どころにチャレンジしている。
アメリカの地方のコミュニティーが抱える闇という点では、ダニエル・デイ=ルイスが主演した「るつぼ」を想起させる。ただし本作のベースになった出来事は80~90年台という。ごく最近までこんな騒動が起きていたということにも驚かされる。
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