「劇場予告編が素晴らしかったのは....」人生の約束 Cディレクターシネオの最新映画レビューさんの映画レビュー(感想・評価)
劇場予告編が素晴らしかったのは....
とにかく、劇場予告編で観たくなりました。
ドライで自信家なIT企業の社長が、
クビにした相棒の死をきっかけに、
本当の自分を取り戻していく。
ストーリーも好きなタイプだし、
贅沢な豪華キャストに日本の祭りや富山の美しい風景...。
「失くしてから気づくことばっかりやな、人生は...」
西田敏行さんの町長が、
印象的につぶやくこのセリフ。
今まで数多くの映画やドラマで扱われてきたけど、
間違いのない安定したテーマ。
きっと大きな感動をくれるのでしょう。
かなりの期待で、劇場へ。
しかし映画は、散漫とした内容でした。
脚本の適当さと、ディテールのツメの甘さでしょうか。
いいセリフもあるのですが、
それを補完する流れが無視されて、
上っ面で物語が流れていきます。
ネタバレするから書けませんが、
いろいろなところに??が落ちていて、
おいおいとツッコミたくなる行動の数々。
登場人物が多すぎて、
全員の背景が置き去りにされています。
主人公が改心するのもあっという間で、
何より人物像が薄い。
会社存続のピンチにも動じないで、
友人の田舎で知らない人と酒で騒いでる。
こんな人いませんよね(笑)
地方の絆やお祭りにかける意気込みも、
まぁそうなんだろうなぁと描かれています。
お祭り好きな人や温かい故郷がある人、
田舎のふれあいに憧れている人には、
とても良い設定なのでしょうね。
けど都会育ちの僕は、
全く感情移入ができなかったです。
なんで町のプライドやお祭りがそんなに大事なのか。
それがわからない人は、入り込めません。
やたらと挿入される北陸新幹線と
長すぎるお祭りシーンに、
PRな策略もチラチラします(笑)
だけど、名優たちの演技には迫力がありましたよ。
竹野内豊さんは、
CEOの抑えた演技から祭りのクライマックまでの
グラデが見事でした。
江口洋介さん、西田敏行さん、小池栄子さん、
柄本明さん、美保純さんの土着感の作り方は凄まじい。
プロとしての迫力を感じました。
2シーンだけの北野武さんも、
さすがの存在感。
役者さんの演技を見るだけでも、
価値はあると思います。
冒頭の予告編が
よく見えた理由がわかりました。
力のある豪華キャストの演技の山場を、
繋いでいるからですね。
けど1本の映画としてみると、
お祭りのシーンしか印象に残りませんでした。
すっかり辛口になってしまいましたが、
僕みたいに期待しすぎなければ、
日本を感じられる良作だと思います。