「貴方は幸せ者。」カプチーノはお熱いうちに ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
貴方は幸せ者。
邦題だけで内容を予想すると陽気なイタリア映画の趣があるが、
あらそうなっちゃうのと予想できない驚きの13年が披露される。
運命の出逢いから、親友の恋人という紆余曲折を経て結ばれた
エレナとアントニオ。働き者でのちに独立事業を営むエレナに
比べて、夫アントニオは識字障害をもつ粗野で浮気症のダメ男。
二人が結ばれたのち一気に13年後に飛ぶ展開は、その後の冷め
具合から、この夫婦はすでに倦怠期を過ぎてただの同居人状態
となっているのが分かる。どんな熱烈な恋愛も時間を過ごせば
いずれこうなる。とは結婚何十年も過ごした方ならお分かりか
と思いつつ、そこへ妻の重病が発覚するところで悲劇が始まる。
この悲運が果たして夫婦にどんな奇跡をもたらすかはさておき、
登場人物がかなり多く、病気になってからも次々と友人が登場。
13年前カフェでお客だった医大生が自分の担当医になっていた
りとその年数を感じさせる作りは誰もが味わう感慨と悲しみを
交互に与えてくれる。貴方は幸せ者よ。と促す担当医の台詞に
他人には見えない悩みや苦しみがあるんだよ。と思いながらも
さりとて自分で選んだのがこの人生。この相手。この仕事。で
あることを彼女自身が納得し、では今後自分はどう生きるべき
かと優しく問いかける。過去の自分たちとすれ違う場面が秀逸。
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