「夭折した天才インド人数学者の物語」奇蹟がくれた数式 agnix-kさんの映画レビュー(感想・評価)
夭折した天才インド人数学者の物語
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牧師がこう言った。
「神は存在する。凧と同じだ。糸の向こうに神がいると感じる」
私(ハーディ教授)は答えた。
「無風なら、凧は飛ばない」
数学者の伝記映画で思い出すのは、ノーベル賞受賞学者であるジョン・ナッシュを描いた『ビューティフルマインド』。
こうした実話をもとにした映画には、いつも心震わされる物語があるので、大好きなジャンルです。しかも、自分が知らなかった世界なので、それを知ることができるのもうれしいですね。この『奇蹟がくれた数式』も同様に、発見がありました。
でも、タイトルがなんとも力不足で、頼りないのです。
日本語としても違和感を感じます。
原作は、『The Man Who Knew Infinity (無限を知っていた男)』で、このままでは魅力的ではありませんけれど。
数学的な発見、すごさというものがもう少しほしかったですね。タクシーエピソードはとてもよかったですが、短い生涯だからこそ、濃密な時間がそこにあったはずです。それをもっと観たかった。
ラマヌジャンが、着想をどのように得るかというハーディ教授の問いに答えるシーンがあります。
そのときラマヌジャンは、女神の名を出すのです。女神が現れ、舌の上に数式を置いていく、と。
信仰に支えられた彼の人生は、その信仰の深さゆえに悲劇を招きます。天才の着想とは、信仰のように思念をもち続けることで得られるものなのかもしれません。
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