「出会いによって人は変わる、普遍的な物語」奇蹟がくれた数式 ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
出会いによって人は変わる、普遍的な物語
天才に国境などない。本作でも天才的な数学的頭脳を持つインド人青年がイギリスへ渡り、差別や孤独に耐えながら研究に明け暮れる。
舞台となるケンブリッジは『炎のランナー』や『博士と彼女のセオリー』でおなじみの学術都市。とりわけ本作では伝統と格式を誇るトリニティ・カレッッジが学内の映画撮影を初めて許可したことも見どころとなっている。また、第一次大戦中の雰囲気を描いた点も興味深く、教師や生徒の数が減り、学内が看護所へと変わりゆく様は、この時代がいかに英国の暮らしを変貌させ、多くの尊いものを奪い去ったかを教えてくれる。
主演デヴ・パテルもさることながら、その師となるジェレミー・アイアンズも変わり者ぶりを発揮。数学に人生を捧げた二人が出会い、ぎこちない気持ちの伝え方ではあっても、いつしかしっかりと敬意と友情を育んでいく。その過程こそ本作の伝えるもっとも尊い奇蹟なのかもしれない。
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