「ジャッキーに毎度カモられる!」スキップ・トレース 曽羅密さんの映画レビュー(感想・評価)
ジャッキーに毎度カモられる!
『ラッシュアワー』から続くジャッキー・チェン主演のハリウッド・バディーものの最新作である。
今年に入って『レイルロード・タイガー』に続き2作目のジャッキー主演作品を観たことになるが、正直なところ筆者にはこの作品の中盤がとにかくだるかった。
ジャッキー・チェンのBlu-rayBoxをいくつか所有している筆者は往年のジャッキーの技の切れを知っているだけに60代になったジャッキーの動きはいささか物足りない。
どんなスーパースターも寄る年波には勝てないだろうから仕方がないとは思っているが、それを補うためか近年の主演作はコメディ要素やストーリーを膨らませて補っている印象がある。
カンフーの醍醐味を味わうならドニー・イェンの『イップ・マン』さえ観ればこと足りる。
余計なストーリーも過度なコメディ要素もなく単純なストーリーの中白熱した漢(おとこ)たちのバトルが展開される。
ではそれでもなぜジャッキー作品を観るのか?
香港がイギリスから変換されて以降奥さんが台湾人であってもジャッキーの発言は共産党の広報かと思うくらい体勢擁護に終止している。
そのためか香港がメインの映画なのに英語以外で話される言語が広東語ではなく北京普通話だ。
ゴールデン・ハーベスト社(嘉禾電影有限公司)制作のシャッキー主演の映画で話される広東語が懐かしい。
高校生当時映画館で『ツイン・ドラゴン』を観ている筆者としては尚更である。
(ジャッキーの本音はよくわからない。返還当時日本の番組で『日本に移住する』とも発言していたのを筆者はよく覚えている。いろいろと大変なんだろうと同情もしている。)
また、ヒロイン役のファン・ビンビンの顔がやたら整形顔でなんだか気になる。
(ジャッキーの最初期作品を観ると、彼は元々一重まぶたで二重に整形している可能性はあるが、彼の場合は全く不自然さを感じない)
ロシアから香港まで大陸を横断する過程でロシアでは定番のマトリョーシカが登場し、モンゴルではモンゴル相撲、少数民族の風習や世界遺産のハニ棚田など各地域の特色が笑いを交えててんこ盛りで登場するが、正直どうでもいい。
黒幕は大どんでん返しで意外な人物となるが、謎を解く気にすらならず「へえ」としか思わないし、黒幕が判明した後の展開も不自然だ。
エンドロールでNG映像を流すお決まりは今回も健在、そこでジャッキーの映画であることを確認させてくれるが、もろもろ欠点の方が多い。
しかしそれでもジャッキーの主演映画だから人は観るのだ!
その意味でやはり彼は希代のスーパースターだ!
今年はまだ12月に主演映画『カンフー・ヨガ』の公開が待機している。
内容はもうただただ置いておいて人はこの人を観るためだけに映画館に足を運ぶのかもしれない。
そんなジャッキーを実感した作品であった。
12月の新作、もちろん筆者は観るつもりである。