「ゲスの極み、美食ブロガー。」99分,世界美味めぐり 好きこそモノのヘタレなれさんの映画レビュー(感想・評価)
ゲスの極み、美食ブロガー。
期待していたものを尽く裏切られた、自分としては珍しい体験だった一本。
世界の美味しそうな料理が眼で楽しめる、と思っての鑑賞だったのに料理は一切美味しそうに見えず。
原題を確認していれば、未然に防げた惨事だったのに返す返す無念。
代わりに焦点を当てられていたのが(と言うか、コチラがそもそも作品の本意なんだよな)「美食ブロガー」。
とにかく出てくる自称グルメがどいつもこいつもキモチ悪くて、大きく戦意を喪失させられた。
・偉そうに店でエビ講釈たれるくせに、クチャ男でカチャ男。
・何処へも脱毛済みの脛を剥き出しの半ズボンで、美味いもの食うたびに「喘ぎ声」を立てる男。
・田舎者剥き出しの図々しさが厚かましいクチャ女。
・不快極まりないド偉そうな上から発言のくせに、皿に盛られた可食部を残す(全部食べてから言えや!)ポンコツ。
・1番まともに見えるけれど、醤油無しで寿司を食べて「美味しい!」と喜ぶ(味覚、信用出来ないよな)モデル女。
そんな紳士淑女のおかげで、画面に映る食べ物が不味そうにしか見えない魔法がかかっているのは逆に見事だと思う。
本末転倒とは正にコレ。
なんでこんな仕上がりにしてしまったのだろうか?
「うるさい!テメェで作れよ!」という言葉が冒頭から最後までずっと喉に引っかかる。
映画もそうかもしれないが、それ以上に味覚なんて本能で千差万別でしょう?
劇中に出てきた懐石「菊乃井」の親方の言葉。
「料理全体の流れから、たったひと皿取り上げて点数付けるなんてナンセンスだし」
ココからとても大事。
「もっとナンセンスなのは、行きも食べもせずにそれ(美食ブログ)を見て右往左往する方々ですよ」(大意)
検索は便利だけど、「なった気」になるのは危険だと教えてくれる反面教師的価値のある作品。