黄金のアデーレ 名画の帰還のレビュー・感想・評価
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初めて映画デートする中年層男女にオススメできる縁結び映画。ただしいろんな意味(ニヤリ)で予習必須。
小学生のころから、映画をたしなんできたくせに、どちらかかと言うと、美術の点はダメダメで、モナリザの模写で、顔だけ「ついでにとんちんかん」にして先生に怒られたり、夏休みの宿題でシルヴェスター・スタローンの「コブラ」のLPジャケットをマジで書いて出して、放り投げられた、スイートな思い出のあるオレにとって、今も当時も変わらず、めんどくさいメンズだったわけだが、絵画ものには基本関心はない。
だが、いろいろ聞くと、今年ベスト、「アルゴ」を彷彿させる、など、すごい称賛の嵐、ということで、いや「アルゴ」自体は全くかっていないが、そういう映画、ということで、鑑賞することとなった。
まあ、それ以上に「グリーン・インフェルノ」レビューの頂いたコメントの「想定通りの無意味」かつ「こっちの心情を分かってない」内容に爆笑し、運営様に非公開処置というお手数をかけてしまったことにちょっと反省し、真逆のジャンルを書いてみようか、ともおもった次第でもある。
「黄金のアデーレ 名画の帰還」
タイトルは、まあ、世界的にかなりニュースになったので、そのネタバレ感自体は気にならない。
(これも「Based on a true story」系だが、これは冒頭になかったか)
というか、「SW」みたいなタイトルだな。間違えてこれもカウントダウンしないように。
それはさておき、世界的絵画の、国からの個人の返還訴訟のため、ことは大きいが、当たり前だが、事実では、決着までに10年弱かかっている。
しかし、その年月の長さ、主人公の年齢、相棒の生活など、時間において発生しうるドラマは極力そぎ落とされ、本当に「ダイジェスト」なつくり。
これを「手際よく」ととり、断片的でもOKする人もいるだろう。事実、ヘレン・ミレンの凛とした姿、美しく苦悩する姿が、「ダイジェスト感」を補ってあまりある演技が、その背景を雄弁に語っている、とは言える。
しかし、いやいや、手際なんて要らないから、因縁ある祖国、捨てた家族、諦めと奮起、そして、心の決着、と「葛藤」と「心の安らぎ」こそが、この世界的訴訟の、本当のドラマ他ならないわけで、逆に言うと、ヘレン・ミレンでなければ、ここまで淡白な映画にはならなかっただろう、という気もする。
また、国外脱出の、若干「盛った」エピソードを入れるのであれば、主人公が途中現地でいやがらせをされたところをもっと悩ませたり、相棒の「それでも当たり前だが、【お金のため】という、きれいごとで済まない事実を描くなら、もっと苦労が欲しいのである。場面場面は大舞台なのに、展開が早いために、軽くみえるのだ。
だが、すべては捨てたが、それでも裕福層の家系の話なので、その「佇まい」に泥臭い葛藤は不要と言えば不要だ。そういう意味でヘレン・ミレンの演技におんぶにだっこな映画でも全く問題はない。
そう、ここまで書いてようやく?いまさら?気づいたが、クサレおっさんが開ける扉ではない、ということ。
追記
これを見て思い出したのが、「アルゴ」よりも、「アンタッチャブル」。この淡白さ、ダイジェスト感は、よく似ている。
なるほど、人に勧めやすい。
そして、なんとなくみんな思っただろう、「タイタニック」。
凛とした老婦人とラストシーン。感動的であるし、これは狙ってやってるね。
なるほど、これは人に勧められる。
追記2
クサレおっさんが開ける扉ではない、とは言ったが、もしね、クサレを脱却したい、初めてのデートで映画を観る、という中年層(あえてここはその年齢層で)がいらっしゃるなら、猛烈にこの映画オススメ。
ただし、そこはオトナらしく、予習をしたうえで。まあ、「いろんな」意味で、「予習」して臨むこと。
ガンバレ、クサレおっさん。(そしてオレ)
本当なら中欧旅行に行く前に見たかったが、間に合わずに帰国後に見た。...
本当なら中欧旅行に行く前に見たかったが、間に合わずに帰国後に見た。
(行きの飛行機で見れるようにU-NEXTにダウンロードしたのに、日本国外だと開かなかった。普通にバグでは?)
黄金のアデーレはベルベデーレ宮殿にあったらしい。外観だけ見に行った!結構大きくて、周りが工事していたせいで入口が分からず一周した。
ちなみに同じクリムトの「接吻」は今もまだベルベデーレ宮殿にある。
絵画系の映画はあまり興味が出ず前半は寝落ちしてしまった。後半にあった当時の回顧録シーンに惹き付けられ、前半に遡って再度ちゃんと見た。
ヘレン・ミレン演じるおばあちゃんが、当時の旦那さんと命からがらウィーン脱出してアメリカに渡ったシーン泣けた。ご両親がいい人で、、「今後お前が話すことになる英語でお別れをしよう」みたいなシーン泣いちゃった。
ライアン・レイノルズ演じる弁護士は家族を振り回し過ぎてちょっと嫌だった。でも奥さん逞しすぎてカッコよかった。あぁなりたい!
あの激動の時代、ナチスに盗られた美術作品は沢山あるらしい。私からしたら第二次世界大戦(ナチス)は歴史で習う遠い昔のイメージだが、あの時代を生き抜いた方々はまだたくさんいるんだもんなぁ。戦争が身近に感じてちょっと怖い。
ずっと逢いたかった
憧れていた叔母アデーレがモデルとなり描かれた名画 「 黄金のアデーレ 」の返還を求め立ち上がる、姪のマリア・アルトマンをヘレン・ミレンが好演。
マリアからの依頼を受け、悩みながらも奔走する弁護士ランディをライアン・レイノルズが熱演。実生活では、最初の結婚ではスカーレット・ヨハンソン、二度目の結婚ではブレイク・ライヴリーが奥様とは!
美しい室内に飾られた 「 黄金のアデーレ 」の前で寛ぐモデルとなったアデーレ・ブロッホ = バウアー役のアンチュ・トラウェが美しい。
ーJude
ー不安に負けず、克服しないと
BS松竹東急を録画にて鑑賞 (吹替版)
国の宝か、個人の思い出か
またまた自分の無知と恥を晒すが、題材になっている“アデーレの肖像”を知らなかった。
オーストリアの画家グスタフ・クリムト(←名前は聞いた事ある)が描いた絵画史に残る名画の一つ。“オーストリアのモナリザ”とも言われる。
その“モナリザ”など名画が画かれたのは数百年前が多いが、“アデーレの肖像”が画かれたのは1907年と比較的最近。
そこに、当事者の関係者や近代史と絡んだ悲劇と数奇の知られざる逸話が…。
実業家フェルディナントが妻アデーレをモデルに、クリムトに描かせたもの。(フェルディナントはクリムトのパトロンだったという)
夫妻には子供が居ない。姪っ子姉妹を我が子のように可愛がっていた。
姉妹も美しい叔母に憧れていた。
芸術を愛する両親共々、この肖像画を家族の宝とし、何不自由なく暮らしていた。
その家族の宝が不当に奪われる。
時は第二次大戦下。奪ったのは言うまでもなく、ナチス。
ナチスによって宝は奪われ、家族もバラバラ、追われるように国外退去。
ナチスは国や人種や一個人の全てを奪い、葬る。罪深き。
戦争終わり、ナチスが略奪した美術品は国が管理。肖像画も美術館にてオーストリアの宝に。
国の宝として重宝される事は決して悪い事ではない。
が、それに意義を唱える者が。
その人物は、マリア・アルトマン。アデーレの姪。
今はアメリカに住み、老女となった彼女は、長い時を経て、求めたのだ。
肖像画、つまり家族の宝の返還を。
もし、自分個人に置き換えたり、ニュースなどで似たような出来事が起きたら、どうだろう…?
歴史的価値ある名品を国が財産として保管するのは先にも述べた通り悪い事ではない。寧ろ、真っ当だ。
だが、ある一個人にとっては、家族の思い出が詰まった宝。元々は私たち家族のもの。だから還して欲しい。
国の言い分も分かる。
マリアの言い分も分かる。
それぞれの複雑な事情を汲みしているからこそ、難しい問題。
いきなりネタバレだが(と言っても映画化される実話だから知っている人は知っているが)、肖像画は晴れてマリアの元に還される。
マリアはアメリカ住まい。オーストリアのものがアメリカへ。今はアメリカの美術館に展示されているという。
オーストリアにとっては悔しい思いだろう。例えば、日本の歴史的価値ある貴重な宝が海外に持ち出されるようなもの。
固執し、恥ずべきとまで劇中で言われてるが、個人的には少々オーストリアへの同情も禁じ得ない。
が、本作はあくまで一個人の思い。
“もの”はそれぞれの立場によって見方が変わる。
貴重な宝であり、大切な思い出。
それにはどんな思いが込められているか…?
国の貴重な宝を、元々は自分たち家族のものだと訴え、返還を求める。
人によっては、何て独り善がり、勝手な言い分、ワガママとさえ思うだろう。
もはやそれは一個人のものではない。国の宝なのだ。
しかし元は、誰かが描いたもの。その親しい身近な存在に囲まれて。
端から国の宝として描いたのではない。その人たちへ描いたのだ。
法的な正当性もある。
モデルのアデーレの遺言で肖像画はオーストリアの美術館へ寄贈されたが、それは実質的権利を持つ夫フェルディナント亡き後に効力を発揮する。
が、寄贈されたのはフェルディナントが亡くなる前。フェルディナントの遺言には、肖像画は姪たちへ。
本来の相続権を持つ者の遺志を無視されたと言っても過言ではない。
返還を求める裁判は最高裁へも。
国は今後の外交問題すら持ち出すが、個人のものを個人に返還求めるのに、何故国と国の問題を持ち出す…?
この時ばかりは国の圧力を感じた。
国vs一個人。傍目には勝ち目などない。
が、苦境を経て…。
苦境は何も裁判だけじゃなく、マリアの過去への向き合いもあったろう。
叔母の肖像画は何も家族の昔の幸せを思い出すだけのものではない。
戦争、ナチス、国を追われ、家族も奪われた、苦く辛い過去の記憶がまじまじと蘇る。
それが彼女にとってどれほど重いものだったか…。久し振りの母国への訪れを渋ったり、拒否するほど。
肖像画の返還は、マリアの過去が救われ、家族との再会である。
今はもう、両親も叔父叔母も姉も居ない。たった一つ、思い出の肖像画だけ。
勝訴した時、マリアに喜びの笑顔は無かった。涙した。
その涙には、喜び、悲しみ、苦しみ、幸せ…全ての感情が込められていた。
実話、歴史、ナチス、美術…普通にやったらお堅い内容になってしまう。
サイモン・カーティス監督の手腕は、それらの題材を、ドラマ性とスリリング、洒落っ気とユーモアも交え、極上のエンタメ・ミステリーに仕上げている。
それをさらに魅力的にしているのは、ヘレン・ミレンの気品、シリアスもイケるライアン・レイノルズ、二人の演技の賜物だろう。
エンドクレジットにて、ナチスに略奪された美術品は約10万点。そのほとんどが今も正当な持ち主の元に戻されていない。訴えも滞りなく。
歴史に翻弄され、埋もれた逸話は尽きない。
美術品一つ、一個人に、それぞれの思いがあるのだから。
先日見たばかりの名著を揶揄して申し訳ないが、浅く薄く映画化するのとは訳が違う。
この件は知らなかったのでまさかポジ側に振れるとは驚いた
そもそも絵画返還じゃなきゃ映画にはならないだろけれども、あれほどの高額なクリムト名画をアメリカ移住のお祖母さんがオーストリアからそっくり取り返せるとは想像できなかった。
それは映画の進展的にもそう感じさせられたし、良くて調停による幾許かの賠償金程度かなと。
というわけで事実を知らない視聴者はけっこうハラハラドキドキしながら集中させられたし、お祖母さん側に肩入れもさせられた。
欲を言えばオーストリア側の返還最終決定を下すプロセスを見させてもらいたかった。
「国家の至宝」を死守しようとする極右勢力などは激しく反対しただろうから。
※ヒトラーの祖国だからというわけではないだろうがオーストリアは極右政党関連で結構ニュースになっている。
テレビドラマ風の質感だったけれど、史実認識となかなかの満足が得られたことに感謝。
戦後の傷跡はまだまだ多い
ヘレン・ミレンというだけで、間違いない!と思ってしまうんだけれども。
ナチスが美術品を強奪収集してた話は有名だけれども、それを取り戻すのがいまだにこんなに大変だとは。
命からがら逃げ、必死で生活基盤を築いたアメリカから、辛い思い出のあるオーストリアに戻るということ。
国を相手どった裁判の難しさ、理不尽さ。
いろんなことを考えさせられる映画でした
強く、前を向ける映画
内気だったマリアが強く勇敢な女性になったことに
深く感銘を受けた
女性、高齢の方にありがちで一蹴される
気分の変化がとても上手くリアリティを持って
だけど上品に描かれていた
ウィーンを離れる際の両親との別れのシーンは、
涙なしには見ることのできない
心を締め付けられる場面だった
もっと感情に訴えかけるように
作ることもできたであろう作品をそうはせず、
また国の対立を煽りかねない
センサティブな内容にも関わらず
偏ったヘイトな描かれ方がなく、
かと言って中途半端でもなく、
最後まで描写により気分を悪くされることのない
素晴らしい作品だった
ネックレスが手元に戻らないことに対しての
心残りはあるが、
それが史実・事実なのであれば仕方がない。
ナチスの関わる作品は
いずれも軽い気持ちで観られるものではないが、
演技の質、映像や音楽の使い方が
不快な重さを上手く緩和させていて
とても見やすい作品だったと思う
肝心な所で寝てたのかと錯覚を起こす映画!!
最近は配信でB級以下の映画ばかりを観ていたので、そのような映画は決まって尺は短いのに、あまり関係ない前置きが長い為、映画作りの難しさを感じていました。本作は出だしでいきなり本題に入って、その後も丁寧に物語を紡いでいきビビりました。弁護士がオレちゃん(デッドプール)なのも驚きました。真面目で丁寧な作りで、主人公は第一印象は面倒くさそうな人だと思いましたが、毅然とした態度で素敵だし、「少年」弁護士と最後まで戦うという決意した熱いハートの持ち主でした。オレちゃんも愚痴や酒に溺れたりせず、常に冷静で決して諦めなかった。そして裁判になって、この超難題を二人はどうやって戦っていくのか、さあいよいよ映画も本番だと身構えましたが、次のシーンであっさりと解決して拍子抜けしました。一度は諦めて、完全にダメ元な状況で無謀な挑戦でしたが、相手は何故折れたのでしょうか。裁判シーンをやるとしたら、あと20分は必要だったと思いますが、あれだけ過去シーンを挿入しているのだから、法廷ものではなく実在の女性のドラマを観せたかったという事でしょう、物足りなかったです。邦題で結末はネタバレしていると公開時からずっと思っていましたが、実際に映画を観てみると、どうあがいても絶対的に無理な状況なので、続きが気になって中盤まで感じたトキメキを大事にしたいです。肝心な所で眠っていたような錯覚を起こす映画です。
裁判で勝つ瞬間は山の頂点じゃなかった。クライマックスはそこじゃない...
裁判で勝つ瞬間は山の頂点じゃなかった。クライマックスはそこじゃない。サイモンが伝えたかったのは、金よりも愛が勝つということなんじゃないかな。
娘が祖国を断つ瞬間、父が最後に1つといって伝えた言葉が印象深い。「remember us」には、娘を思う気持ちというよりは、自分たちの存在意義が失われない事を祈るように聞こえる。そこに人間らしいわがままさがあって好きだった。自分が生きた証というのが欲しいと思うのが我々の性根だ。サイモンは人間味をあえて出すため、「いつでも君の味方だ」などという綺麗言ではなく、旅立つ子への最後のメッセージとして、正気さが伝わるようにしたんだろう。
ライアンがウィーンに行く前と後で、弁護士としての価値観が変わったと言った。その意味が映画が終わってやっとわかった。彼が欲しかったのは、家族を養う給料ではなく、正義と少しの名声だった、のかもしれない。
そして暴力に頼らない、論証によって解決する弁護士のやり取りはとてもスマートだった。
最後の回想シーンは、離れ離れになった家族がやっと1つになれたことを表していたのか。
「私を病院に連れて言った後、あなたはワシントンに飛んで」。それにしてもライアンの妻の歴然とした強さはすごい。
印象操作
飽和するほどの圧倒的な弁護士数と、
桁違いの金銭賠償が認められる制度を持つことなどから、
他と比べてビジネス要素がとても強いのが訴訟大国アメリカの訴訟構造。
主人公は「あなたのために借金漬けになってるのに!」と言うが、意味が分からない。
頼まれてもいないのに他人のために借金して仕事をするなんて普通じゃないし、
要は勝訴時の報酬や名誉を狙ってギャンブルした自分の責任であり「自分のため」だろう。
それと、不利な案件は地の利と大国パワーを利用して自国で提訴して、
強引にもっていこうとするのが彼の国の常とう手段。日本もこの手の訴訟を相当食らっている。
結局、巨額の資産・報酬を得ることを何よりの目的として、
そのために良くも悪くもありとあらゆる手段を使った話であることが否定できず、
ならそういうものとして真正面から描けばよいのに、
そういう意地汚いビジネスの話や、国家間の力関係のやりとりを、
正義や反戦という観点にすり替える魅せ方には疑問がある。
小国オーストリアの宝が、なんの補償も配慮もなしに
超大国アメリカの物としてニューヨークにあるという事実や、
オーストリアを不必要なほど悪し様に扱う描写も含めて、
この映画の描き方ではそう感じざるを得ない。
ユダヤ差別や戦時の略奪は許せないが、それはそれ。
取り返したのは
叔母さんの絵、だけではなく、多くの人の心の中にある家族と故郷の眩しく温かい思い出。
残酷な時代の流れに奪われたのは、尊厳、誇り、家族、暮らし、財産、数えきれない様々なもの…
オーストリアやアパートが傷を蘇らせる2度と行きたくない場所でなくなり、懐かしめる場所になったことが、この物語の1番重要な部分だと感じました。
ラストシーンの笑顔が本当に美しかった。
今まで見た中で一番好きな映画の1つになった。 映画館で観るかずっと...
今まで見た中で一番好きな映画の1つになった。
映画館で観るかずっと悩んで結局やめてしまったことを激しく後悔。
主人公のマリアがとても可愛らしいおばあちゃんで魅力的すぎる。
キャストを全く知らなかったから、ライアンレイノルズと、ダニエルブリュールが突然出てきてとてもびっくりした笑
デットプールの時との印象が違いすぎて少し焦った笑
ヒゲで全く印象が違いますね。
なんといってもオーストリアの美しい街並みが表現されていたのがもう素敵すぎて。家の内装とか調度品も素敵すぎる。
石畳を走る若かりし頃のマリアと夫がもう絵になって絵になって。
やっぱり学生のうちに一度はオーストリアにいきたい。クリムトがいた分離派会館とかにも行きたい。
英語とドイツ語が印象的に使われていた気がする。
字幕でも〈〉が付いているかついていないかで分かりやすくなってたけれど、
ドイツ語を勉強してて本当に良かったと思った。
オーストリア人だけれど祖国には嫌な思い出があるから、アメリカ人としてかたくなに英語を話すマリアに対して、ドイツ語で嫌味を言う人とか
頑張って英語を勉強しているマリアが電報を聞いて、だんだんとドイツ語に戻ってしまう姿とか
もうオーストリアに戻らないと決めていたマリアがランドルに巻き込まれて二回も国に戻り、結果絵を取り戻すことができた後
自分の家を訪れ、そこで自然とドイツ語が出る
泣いた
いやぁ本当に素敵だった
もう一回見たいけれど明日の13時までに返却しなくてはならないし、あと2本も借りてしまったし
オリンピックも見なくては
内容のあるいい映画。正統派という感じ。
主人公の女性は、ロサンゼルスで素敵なファッションに身を包んでブティック経営をしている洗練された女性。夫は先立ってしまったけれど、一見、幸せそうに見える。
でも実は、若い頃に両親を祖国に置いてアメリカへ逃げなければいけなかったユダヤ人。幸せな時間を過ごした幼少時代と、ナチス迫害時代、在米で順調そうな現在の三つの時間軸で構成されている。
それまで過去は過去、と割り切って過ごしてきた彼女が、ある日を境に絵画を取り返すため、同じ祖国出身の若い弁護士に相談し、オーストリアを相手に訴訟を起こす。初めは報酬目当てだったその弁護士も、女性と時間を過ごすにつれてオーストリアに対する想いが強くなっていく。
凛としたその女性の過去には、肖像画の被写体であり身近だった憧れの叔母の姿があって、その人の影響を受けているんじゃないかと思わせられて胸が詰まった。
この映画は絵画を取り返すまでの長い年月の間に、未だに残るユダヤ人に対する侮辱、お金目当てで近づこうとする輩などと遭遇して、大変な時間を過ごしたんだろうなと想像できた。
この映画に関してまったく予備知識がないまま観たけれど、彼女の回想シーンや裁判をするにあたっての気持ちの変化など、始終感情移入して話に引き込まれていた。見終わったあとは重厚感のある余韻が残った。重い雰囲気になりがちなストーリーなのに、クスッと笑えるジョークも混ざっているし、素晴らしい芸術品、主人公の上品なファッションや、出で立ちのお陰か、視覚的にも心地よい刺激を受けて、そこまで暗い感じはしなかった。久しぶりに内容のあるいい映画を観たなという充実感がある。また観たいと思えるし、正統派の映画、落ち着いた映画、実際にあった話の映画が観たい人にはお薦めしたい。
おかえりなさい。
久し振りに「こういう映画を観たかった!」と、生意気な事を思ってしまう位、最初から最後まで最高な映画でした。
(ラストシーン)追憶の日々が甦り、諦めていた両親や姉や旦那様・叔父様、愛おしい人達との再会、そしてずっと待ち焦がれていた(叔母様)との再会シーンには、感動で胸いっぱいです。
こういう(主人公にしか見えていない、想像の世界)場面を映像として実現出来るのも、映画ならではですよね。
俳優さん達の演技も、物語・音楽・美術・映像・何もかも、全てが素晴らしいです。
感動しました。
一枚の絵画を通じて語り継ぐナチスの歴史
ナチスと美術品の歴史を描いた映画では「ミケランジェロ・プロジェクト」が記憶に新しい。「黄金のアデーレ 名画の帰還」は、オーストリア国家の手に渡った叔母の絵画を、ひとりの老婦人が返還しようと奮闘する物語だ。もちろん老婦人には弁護士が付き、力を貸してくれるオーストリア人の存在も出てくるが、言わば個人対国家という図式。大きな挑戦の物語ということになる。
もちろん、ユダヤである老婦人にもナチスに追われた過去があり、当時の記憶が回想シーンとして度々登場する。絵画を返還する現代のストーリーと、ナチスから逃れるためアメリカへ逃亡する過去のストーリーが行き来しながらドラマは展開する。実話だというから興味深い。
フラッシュバックの入り方はやや乱暴に思える。現代のストーリーと過去のストーリーがうまく呼応し合わない状態で闇雲に時代が行き来し、その都度映画のタッチが変わるので少々落ち着かない。ナチスにまつわるサスペンスフルなストーリーには緊張感が走るし、絵画の返還をめぐる物語にも興味は惹かれる。しかしその同時進行の展開があまり器用ではなかった。過去のストーリーは寧ろ、ナチスからアメリカへ逃亡するエピソードを語るのではなく、なぜ老婦人がアデーレの絵画に固執し、これだけの労力をかけてでも取り戻したいのかを紐解くエピソードを語るべきだったのではないかと思う。老婦人のドラマティックな過去は語られるが、そこから老婦人のパーソナルな心情や心の動きなどは見えにくく、よって現代の物語と響き合わない。ただただナチスの悲劇性だけが目に残る回想で終わってるのでは勿体ない。
そして絵画の返還に至るまでの経緯の描かれ方にも不満が残る。力の弱い個人がいかにして国家を相手に勝利できたのか、が見所になるかと思いきや、映画はその主題を実に淡泊に語っていく。映画を見ていると(実際にはそうであったはずがないが)あれよあれよと最高裁まで行き、案外簡単に絵画を取り戻せたように見えてしまう。長い月日と労力と経費が掛かった一大事のように感じられないのが難点だ。ただその分、若き弁護士のこの無謀ともいえる挑戦におけるジレンマや葛藤、そして自身のルーツへの対峙といった部分は丁寧に描かれている印象だ。
ヘレン・ミレンとライアン・レイノルズという、共通点がとても見つかりそうもない二人の相性が以外と悪くなく、特に前半部分など、ロマコメかと思うようなケミストリー。辛辣で複雑で気位が高いがとてもチャーミングな老婦人を演じるヘレン・ミレンの凛々しい佇まいにも見惚れるし、ミレンが役柄に投じるスパイスとユーモアが絶妙のバランスで眩しいほどにかっこいい。そしてその魅力が作品の欠点を覆い隠してしまうほど。
そしてまた、このように一枚の絵画を通じて、ナチスの惨さと歴史の重さを語り継ぐ映画が生まれたことについては素晴らしいと思う。歴史を風化させまいとする熱意には何の異論もない。
「黄金のアデーレ」を観て・・
史実に基づいた美術品を巡る作品。第二次世界大戦中にナチス・ドイツ軍が強奪した美術品は膨大にあるらしい。その中には不幸にも消滅した美術品や未だに所有者に返還されていない分が存在する。クリムトの名画「黄金のアデーレ」も同様であった・・個人宅からドイツ軍に強奪されたクリムトの作品はオーストリア国家の美術館に存在した。主人公のブティックの初老のオーナーはユダヤ人で、あの忌まわしいホロコーストの悲劇の記憶を甦させる。映画はその辺りの映像を忠実に再現する。個人の訴えは国家相手に最高裁まで行き着く。一旦は裁判を断念した主人公だったが、携わってきた弁護士の熱意に心が動かされる。そしてクリムトの名画の行方は・・史実に基づいた映画なので感動は大きい。戦後70年の2015年の作品。
魅せられました♪
クリムトの絵が好きなので、 その一心のみで観賞したのですが… 見応えあり、
魅せられました♪
俳優陣 の 演技力 、映画の 全体的な構成力
歴史背景 の 日本人には 現実感が およそ無い
ところで 起きていた 事実(史実)
理不尽な 事に 私欲なく 立ち向かうことが
真実の 勝利?(上手い言葉が見つかりませんが…) に 繋がるのだと 感じました。
しかし… オーストリアは 駆け引きなしに 主人公の 真の声に 応えたなら
国が誇れる 偉大な銘画という 財産(これも上手い言葉が見つかりません) を
国外に放出する形には ならなかった であろうと予想出来るだけに…
そういう結果を招いてしまう 人間の 愚かさも 感じました。
人間のルーツの 深いところも 描かれていて 観ていて 歴史の勉強にもなり 感情の深い所で
考えさせられる 映画でもありました。
若弁護士の成長物語
歴史的な事件を扱ってはいるけども、この物語のキモは、若弁護士の成長。
一番はじめは、びくびく、おどおど、どうか雇ってください、という社畜的性格。
アデーレの仕事を進めるうち、野心が芽生え始め、会社にも反発できるようになってくる。
そして、ここで終わらないところが面白い。彼はより有意義な転機を迎える。それは、自分の信じる正義のために働くこと。
家族に反対され、クライアントにすら反対されても、彼は彼自身が正しいと信じたことをどうしても曲げられなかった。
自分だけしか確信を持てないことを貫くのは、とてつもなく難しいことだ。しかし、それをできた人間だけが、世の中の常識をひっくり返すことができる。
彼は何のために、あるいはなぜ、そこまでできたのか。その謎かけをこの映画は示しているように見える。
過去からの解放に70年は短いのか。
年末に名作を得たという満足感がありました。
法廷劇のハラハラドキドキと、勝利のカタルシスと、勝ってなお苛まれる被害者に植えつけられた罪悪感の重み、苦味とが多層的に織り交ぜられており、物語の旨味がぎっしり詰まっております。
マリアとランディのでこぼこバディものとしても楽しく見られますし、オーストリアのユダヤ人たちが受けた迫害の歴史、その苦しみが今もマリアから消えない様も突きつけられます。
特に、強く印象に残ったのは、マリアの苦しみの根っこには、ナチスやそれに従ったオーストリア人たち、国家としてのオーストリアへの怒りだけではなく、親を捨てざるを得なかったことへの後悔が強いのだということです。
彼女は被害者なのに、裁判に勝っておばの肖像画を取り戻したのに、大好きな親を捨ててしまったことをいまだ悔いている。責めないでいいんだよ、と思うけど、そうなるよね、と改めて感じました。
人の生んだ悲劇の遺産はこうも重いのか。
辛い過去から自由になるのに70年では足りないのか。
そんな苦味が残りました。
回想でマリアの母を演じている方に、とても見覚えがあり、多分あの日のように抱きしめて、で、自殺したユダヤ人の友人役の人じゃないかなぁと思います。
調べたんですが、裏は取れなかったのですが。
ランディの成長物語としても見られます。奥さんがよかったです。
ヘレンミレンが若々しくて、80代の役だとわかりませんでした。どうりで「私が死ぬのを相手は待ってる」みたいなセリフがでてくるわけだ。いっても70位やのにそうそう死ぬかいなと思って見てました。
80代はあんなにしゅっしゅっと歩けないよ?あんなにヒール履いてられなくない?とか思いました。
や、キリッとしたヘレンミレン、素敵でしたがね。
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