「印象操作」黄金のアデーレ 名画の帰還 いもりりさんの映画レビュー(感想・評価)
印象操作
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飽和するほどの圧倒的な弁護士数と、
桁違いの金銭賠償が認められる制度を持つことなどから、
他と比べてビジネス要素がとても強いのが訴訟大国アメリカの訴訟構造。
主人公は「あなたのために借金漬けになってるのに!」と言うが、意味が分からない。
頼まれてもいないのに他人のために借金して仕事をするなんて普通じゃないし、
要は勝訴時の報酬や名誉を狙ってギャンブルした自分の責任であり「自分のため」だろう。
それと、不利な案件は地の利と大国パワーを利用して自国で提訴して、
強引にもっていこうとするのが彼の国の常とう手段。日本もこの手の訴訟を相当食らっている。
結局、巨額の資産・報酬を得ることを何よりの目的として、
そのために良くも悪くもありとあらゆる手段を使った話であることが否定できず、
ならそういうものとして真正面から描けばよいのに、
そういう意地汚いビジネスの話や、国家間の力関係のやりとりを、
正義や反戦という観点にすり替える魅せ方には疑問がある。
小国オーストリアの宝が、なんの補償も配慮もなしに
超大国アメリカの物としてニューヨークにあるという事実や、
オーストリアを不必要なほど悪し様に扱う描写も含めて、
この映画の描き方ではそう感じざるを得ない。
ユダヤ差別や戦時の略奪は許せないが、それはそれ。
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