「【“心の声”に従い、私生活を犠牲にしてでも、米国の”大量データ収集方法”を止めようとした、稀有な男の物語。ポリティカル・”ホラー”作品でもある。】」スノーデン NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【“心の声”に従い、私生活を犠牲にしてでも、米国の”大量データ収集方法”を止めようとした、稀有な男の物語。ポリティカル・”ホラー”作品でもある。】
ー冒頭、2013年、香港、スノーデン(ジョゼフ・ゴードン・レヴィッド)がドキュメンタリー作家と、ガーディアンコラムニストの女性と秘密裏に会い、インタビューを受ける場面からこの映画は始まる・・。ドキュメンタリータッチである。
スノーデンが、2004-2013年までアメリカのNSA(アメリカ国家安全保障局)やCIAで勤務していた時に知った、アメリカの大量データ収集システムの存在に徐々に疑問を感じていくスノーデンの姿。
だが、それと並行して、恋人のリンゼイ・ミルズ(シャイリーン・ウッドリー:初作品から、親戚のおじさん状態で観ている・・。)との楽しそうな姿も描かれる。
つまり、彼は偏執的な人物ではなく、ごく普通のアメリカの青年であった事が、サラリと描かれている・・。
では、何故彼は国を追われるような、告発を身命を賭して行ったのか・・。ー
■怖ろしかった場面
・NSA(アメリカ国家安全保障局)で働いていた、スノーデンの同僚が、鼻歌でも歌う感じで、”秘密の検索システム”で、アラブの富豪マルワンの家族構成リストを画面に出し、彼らのセキュリティーがかかっている筈のデータや、携帯電話での遣り取りを、難なく画面でスノーデンに見せるシーン。
・同じように、マルワンの親族の女性がホテルの部屋で、ブルカを取り、服を脱ぎ、下着になる姿を、容易に映し出す場面。
◆世界のあらゆる情報が、あのビッグデータ検索装置を使えば、観れるのか?
◆我々にプライバシーは、最早ないのか?
◆プライバシーよりも、国家同士の情報収集により、微妙な均衡を保ち、第三次世界大戦を防ぐ事を、NSA関係者及びブッシュ、オバマ政権は主張している事を、今作品は暗示しているが、本当にそれで、良いのか? 他に方法はないのか?4
<ラスト、スノーデンが亡命したロシアから米国民にメッセージを送るシーンは、本当にイロイロと考えさせられる。そして、最後”ネットに自由を”というメッセージが張られたパソコンの裏から、スノーデン本人が姿を現すシーン。
彼の表情は穏やかだ。
ガールフレンドとも会えなくなってしまったのに・・。
と思ったら、”彼女は、ロシアへ・・”と流れたテロップが、心に沁みた・・。>