劇場公開日 2017年1月27日

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「現在進行形の暴露。監視社会がもたらした、自由と代償。」スノーデン 映画コーディネーター・門倉カドさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0現在進行形の暴露。監視社会がもたらした、自由と代償。

2017年2月21日
PCから投稿

怖い

知的

難しい

【賛否両論チェック】
賛:今まさに起こっている問題として、監視社会の是非を観ている者に問いかける内容が印象的。
否:主人公の人物像に迫っていく物語なので、本筋とは関係なさそうな描写等もあり、淡々としている感がある。

 物語は告発前後の2013年6月と、スノーデンの過去を行き来する形で描かれていきます。前者では、告発に際して起こりうる最悪の事態に緊迫しながら、それでも暴露を敢行しようとするスノーデン達の情熱に、思わず圧倒されるようです。そして後者では、愛国心に溢れていたごく普通の青年が、その能力を買われて携わった国家の仕事で、個人のプライバシーを極限まで覗き見ることの出来る実態を知り、苦悩していく様が淡々と描かれ、監視社会の是非を改めて考えさせられます。
 「テロとの戦い」の名の下に行われ、治安維持の面では一定の成果を上げてきたであろう監視の実態。その代償を受け入れて安全を享受するのか、それともその監視に異議を突きつけるのか。決して他人事でも過去の話でもない、まさに現在進行形の課題を、観ている者に訴えかける内容です。
 自伝的なストーリーでやや退屈かも知れませんが、自分にも関わりのある問題として、考えてみたい作品といえます。

映画コーディネーター・門倉カド