ナオトひとりっきり Alone in Fukushimaのレビュー・感想・評価
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NHKでやれば良いのに
こういうドキュメンタリー映画をNHKでも放送すればいいと思います。動物を飼い作物を育てて、そこに原発事故が起こるとどういうことになるか。食べ物を作る人が居ないと何もかもが成り立ちません。自死する人。餓死する家畜。政府はなかったこと、過去のことにしたいのだろうけど、私はなかったこと、過去のことにはできないです。
福島第一原発から12kmの富岡町。手を出してくる野良猫に刃物アブね...
福島第一原発から12kmの富岡町。手を出してくる野良猫に刃物アブねぇと話かけながらダチョウにエサを与える松村直登さん。避難要請に応じず一人自宅に残った。2013年に電気が復旧するまで2年間ロウソクでしのいだ。水は湧き水。主食はタマゴ納豆レトルト食品。
置き去りにされた家畜やペットその他の動物にエサをやりまくる。
なんでこんなとこにダチョウいるの?と知らない人なら思うのだけれど、第一原発のマスコットとして飼われていて置き去り放置されていたのをナオトさんが連れてきた。ダチョウ=少しのエサで大きく育つ≒少しのウランで大きな電力ということらしい。
きっかけは動物の命を守ることだったけれど、この活動をつづけることが人が住めない場所を作ったことへの抗議活動にもなっている。本当にドキュメンタリーだし原発が生命の尊厳を侵してることがダイレクトに伝わる。全然演出しないでそのまま撮っているのが良い。
本当のドキュメンタリーは地味です
福島の双葉郡富岡町、ちょうど第一原発と第二に挟まれた汚染地域だ、風上だったこともあり制限はあるものの主人公・松村直登さんは富岡町に一人残り、遺棄された動物や牧場主から頼まれて牛の世話を行っている奇特な人だ。海外のメディアにも注目され、フランスにも招かれたそうだ、本作の監督・撮影・編集と一人で作り上げた中村真夕さんも報道に関心を持ち長期取材を申し込んだそうだ。震災後の2013年から15年の2年間の記録である。
驚くのは松村さんは畜産家でも動物愛護家でもない普通のおじさん、以前は建設関係の小さな会社を経営していたそうだ、賞賛も多い中、「被爆した動物は引き取り手も無く殺処分される、見殺しにはできない、これは運命だと思ってやっている」と言う。
助けてくれる獣医さんはいるものの組織ではなくほぼ一人で世話をしている、だから動物の数も限られる、動物たちには救世主だろうが見方を変えれば動物たちの世話をすることで逆に活きる力を与えてもらったようにも見えるのです。
未曽有の大災害ともなればドキュメンタリーも多いのですが中には脚色、偽善的な作品もあり鵜呑みに出来ない面もあります、中村監督は自身の目で確かめるべく密着取材を行ったそうです。
当然、メッセージ性はありますが誇張はありません、淡々と松村さんと動物たちとの日常が描かれるだけです、動物たちの表情も自然ですので良くある癒しの動物ものとも違いますがそこが本作の魅力なのでしょう。
映画は5年前まででしたのでその後が気になりググってみたら松村さんのシンパの方でしょうか「ときぶーの時間」というブログに松村さんの近況が載っていました、今もご健在で世話を続けられておられるようです。安心して暮らせる日常が一日も早く取り戻せますように祈っております。
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