劇場公開日 2015年7月11日

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「これは純映画だ!」リアル鬼ごっこ ドラゴンさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0これは純映画だ!

2016年8月25日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

単純

これはグラインドハウスの日本版ですな。70年代のアメリカで流行した、刹那的な刺激を求める「だけの映画」(あ、ほめてますよ)。「だけの映画」を「純粋な映画」に置き換えてもいい。ダイナミズムを失った現代日本で、よくこんな企画が通ったもんだと感心しました。とにかく監督が撮りたいものを羅列しただけ。「男なんて撮りたくない」で女の子しか画面に登場しない。「下着が撮りたいんだ、パンチラだ」で不必要なまでのパンチラと着替え。「女の子は追い詰められた姿が良いんだ」でひたすらキリ株。作者の書きたいもののみを追求し、商業主義に迎合しない小説を純文学というが、この映画もある意味純映画だろう。中華屋の厨房あたりは魔空空間を思い出しました。
ただ、最後のオチの部分は説明が明瞭すぎ、かつくどい。もっとわかりにくくし、5回位観て、初めて「ああっ!そーゆーオチか」と気付く位で良かったのに。セリフで説明させちゃ興ざめ。それに、何度もゲームが繰り返し行われたことを示すため、ラスト以外でも、時系列の狂ったデジャヴシーンを挿入するべきだった。でも、こーいった「世にも奇妙な物語」にありそうな話は好きだし、真野のファンなので、この映画は◎です。とはいえ、予告編とキャッチコピーは完全に詐欺ですね。子供の声のアナウンス本編にないじゃん。
ちなみにこの映画を気に入った人は鈴木清順監督の「ツィゴイネルワイゼン」を観てくださいませ。あれこそ、5回観て、初めて意味がわかる映画です。ただ、あちらは心理学か精神医療の知識が必要になりますが。「屋根に落ちる小石」の意味がわかった時に初めて全体像がつかめます。お勧めです。

ドラゴン