「面白く難しく…」ピエロがお前を嘲笑う R41さんの映画レビュー(感想・評価)
面白く難しく…
殺人事件が起きた。主人公ベンヤミンは警察に出頭し、事件の全容を話し始める。
これがこの作品の表現で、主人公らに翻弄され停職に追い込まれた女性捜査官とベンヤミンとの対話が始まる。
ハッカーという得意技だけが自分自身を誰よりも最高だと思わせることができる。
ダークウェブの中では誰がナンバーワンなのか囁かれ、MRXという謎の人物が脚光を浴びていた。
仲間を結成しクレイと名乗り始めた主人公たち4人は、有名銀行や製薬会社などのサーバに侵入して「いたずら」を繰り返すことで、ハッカーたちから脚光を浴びる存在となる。
しかしMRXは「誰クレイって?」と相手にしない。
主人公は同級生の「マリ」にぞっこんだが、奥手なことで進展しない。
ハックすることはできても人の心は手に入らない。
そんな時連邦情報局に侵入する提案がされて、まんまと成功を収めるが、ベンヤミンはサーバから情報を盗み出し、それをMRXへのプレゼントにしてしまう。
MRXはその情報から、同じハッカーの「フレンズ」メンバーの一人が情報漏洩者だということを知り、その情報を誰かに流した。
メンバーが殺され、警察も大々的に捜査を開始した。
ベンヤミンは司法取引を持ち掛け、MRXの逮捕に協力する。
やがてMRXが逮捕され、司法取引が成立したかに思えたが、彼女はベンヤミンという人物像に迫っていく。彼の話した死体もなく、証言には謎が残っていたのだ。
彼女はベンヤミンの母の多重人格を知り、ベンヤミンもそうではないかと考えることで、あるはずの死体がないことの謎を説明した。
しかしそれはベンヤミンの罠だった。ここが非常にややこしい。
そもそもクレイは4人でスタートした。
しかし途中でマリが加わっていたのだ。
ベンヤミンによる女性捜査官への誘導で、警察はクレイが一人だったことにして、残りのメンバーを捜査線上から消したのだ。
最後の4つの角砂糖 これはもう一つ隠してある角砂糖の存在を最終的に彼女は知ることになる。
しかしそれは誰にも言わない。お互いの尊敬のようなものが伺える。
しかしわかりにくい。
物語そのものの描き方は、スリリングだ。ハッカーはPCの前だけではできないことが伺える。建物に侵入するのだ。
結末は、クレイは5人。皆まんなと連邦情報局の資料から消えることに成功する。
クレイは絶対絶命に陥ったことで、女性捜査官をターゲットにした。彼女自身がベンヤミンんの話に齟齬があることを気づき、その仮説を立証していくように仕向けた。
それがこの作品で描かれていることだ。
彼女にあえてベンヤミンが多重人格症だと思わせ、病気という理由から司法取引に応じないと言う。次々に話の齟齬を指摘しながら、あたかもベンジャミンが追い詰められていくように仕向けた。
理由は、「ベンヤミン自らが情報を書き換える」必要があったからだろう。取引が成立すれば、そのことだけしか変えられない。
しかし、
彼に対する感謝から、彼女が急に気が変わってしまうという設定はいささかあり得ない。
守衛に財布を忘れたと哀願するときも「気が変わった」守衛のおかげで侵入できた。
この手法を使ったこと、しかも2度。ん~~~~~
マリを起用することで女性捜査官をだましやすくできるが、最後にマリが仲間として登場しても大した驚きはないような気がする。
女性捜査官とベンヤミンとの微妙な信頼関係が築かれたことになるのだと思った。
でもとても面白い作品です。