劇場公開日 2015年5月23日

  • 予告編を見る

「テンション」チャッピー Minaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0テンション

2022年8月7日
Androidアプリから投稿

チャッピーをシャールト・コプリーが演じているのを知っていささか驚いたが、ニール・プロムガンプ監督作品では常連となった様だ。「第9地区」で友情出演してからここまで活躍の幅を広げるとは本人も思っていなかったろう。本作では再びヨハネスブルグが舞台となり、最先端の技術と荒廃したスラムが合わないようで合う不思議な空気感を生んでいる。
映像的には分かりやすいロボットSFとなる訳だが、本作も多くのメッセージ性に富んだ作品になっている。チャッピーの可愛らしい仕草でホッコリしたかと思えば、南アの過酷な現状が見え隠れし、現実を見せられた様に我に帰る。見よう見まねでギャングの真似事をし、取ってつけた様に悪びれていく様は何とも滑稽だが、我々からすると悪の象徴のギャングらにもドラマがきちんと用意されている。彼らもきちんと家族であり、世の中の常識とは外れているかも知れないが、チャッピーとの間に生まれた家族という意識が突き動かす描写の数々に心を奪われる。
オチも何とも皮肉の込められたものか。実際に人工知能が暴走というのはSFの世界だけの事かも知れないが、何でもかんでもそれに頼るのはやはり危険である。もちろんそれに対する警鐘という意味で見ても大きなテーマが伺えるが、本作ではチャッピーに与えられた「命」を元に、生命、もしくは生の意味を考えるという物が同時に定義されている。こういう見方だと難しく聞こえるが、作品としては分かりやすい物語であり、いちいちガジェットにこだわりを見せる所など、SFファン、ゲームマニアの心にドカンと来る熱いメカ愛を思う存分堪能することが出来る。
1つ気になるのが、ギャングのリーダー、ニンジャが着ていたオレンジのパンツに「テンション」と書いてあった事。何故このシーンでこれ?と思うが、衣類に書いてある文字なんぞ所詮はそんなものだろうか。

Mina