劇場公開日 2016年1月30日

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「ファンによるファンの為のロスタイム映画」さらば あぶない刑事 サブロウタさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ファンによるファンの為のロスタイム映画

2024年5月30日
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鑑賞方法:映画館

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はっきり言って御新規の事は何も考えていないと言ってもいい映画だった。

敵も過去の因縁絡み、話の主軸も現実に即した時間経過をするシリーズにおける語られていない作品と作品の空白期間を利用した話作りをされている。
過去作オマージュや過去映像の使用も幾度かあり、凄く凄く丁寧に『あぶない刑事』を作ろうとしているのが解る。
が、それ故に新規は結構置いてけぼりであろう。
40年ちかくもやってるシリーズなんだから当然といえば当然だが。

正直、FOREVER辺りからは『映画だから』とか『いまあぶ刑事を作るなら』みたいな感じが透けて見えてあぶない刑事本来の味からは遠ざかっていた様に思うが、本作は本当に丁寧に…というか当時の現場を知らないスタッフ中心であるがゆえに良く研究して『あぶない刑事』を撮っている。
派手で大きな仕掛けなんていらない、ただタカとユージがハマで粋がるだけで華があるのを良く理解している。

敵キャラや港署の若手といったゲストキャラ達もいい味を出しているし、レギュラーキャストの変わらない空気も素晴らしい。
特に感心したのはタカかユージの娘かもしれない、とされる土屋太鳳演じる彩夏。
若い女性キャストをメインに据えて華を添えつつもタカとユージが『絶対に手を出さない』存在にすることで若い子に鼻の下を伸ばすジジイにならないようになっており、同時に過去を振り返ったり『親』としての二人の顔も引き出せたり、更には今までろくに触れられなかった二人のプライベートにも踏み込めるのだから素晴らしい立ち位置だと思った。

前作『さらば』で正直シリーズとしては完結している。
今回は本当に『帰ってきた』であり、やはり二人には死ぬまでハマに居て欲しいというファンの願いや長年のシリーズの中でだんだんと薄れていった『連続ドラマ時代の空気』を掘り起こしたシリーズのエピローグ的映画であった。

サブロウタ