「過ぎたるは猶及ばざるが如しに陥る愚作」おかあさんの木 Gustav (グスタフ)さんの映画レビュー(感想・評価)
過ぎたるは猶及ばざるが如しに陥る愚作
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1969年発表の児童文学の実写化で、最近まで小学校の国語教科書に収録されていたというが、極端な戦争悲話の内容が残酷しすぎていて、大変疑問に思う。反戦思想に凝り固まった物語の語り口に大人の冷静な視点がなく、兎に角情に流されるエピソードの連続に創作の工夫と共感性がない。映画を観て泣けるか泣けないかの、安直な価値観で創られた映画のレベルで、これを東映という日本の大手映画会社が公開する愚かさしか印象に残らない。主演の鈴木京香はミスキャスト。女優の演技力や魅力を引き出す演出になっていない。脚本・演出が酷いが、更に音楽も頂けない。悲しさの強要は、音楽ではない。
三人の子どもを戦争で失った母親の、五男の出兵の見送りで取った行動を責める憲兵の描写に作為があり過ぎるし、行方不明にして突然帰省する状況にする脚本の説明不足が致命傷。日本に帰還した時点で、実家に一人の母親に電報くらいは打てるだろう。五男がやっとの思いで帰って来た時には、すでに母親が息絶えていたなんて、誰がこれに同情や感傷のこころを抱けるのだろうか。大人でも不快になる内容を子供に教える価値はない。
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