劇場公開日 2015年9月19日

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ヒロイン失格 : インタビュー

2015年9月17日更新
スタイリスト/【桐谷美玲】宮澤敬子、 【山崎賢人】伊藤省吾、【坂口健太郎】廣瀬瑠美 ヘアメイク/【桐谷美玲】今井貴子、 【山崎賢人】永瀬多壱、【坂口健太郎】臼井崇
スタイリスト/【桐谷美玲】宮澤敬子、 【山崎賢人】伊藤省吾、【坂口健太郎】廣瀬瑠美 ヘアメイク/【桐谷美玲】今井貴子、 【山崎賢人】永瀬多壱、【坂口健太郎】臼井崇

桐谷美玲×山崎賢人×坂口健太郎、パブリックイメージを壊してさらけ出した素の表情

「塩顔男子って言われることについてはいかがですか?」。山崎賢人がニヤニヤしながら芸能レポーターのような口調で坂口健太郎に尋ねる。「いや、塩顔って言葉も知らなかったし」と坂口は苦笑いを浮かべる。(取材・文・写真/黒豆直樹)

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野暮を承知で実年齢を持ち出せば、桐谷は25歳、坂口はその2学年下の24歳、そして山崎は21歳の誕生日を迎えたばかり。だが、この3人、衣裳の制服を脱いでも同級生の空気そのままである。この距離感が映画「ヒロイン失格」の土台をガッチリと支えている。

幸田もも子氏の人気漫画を原作とする本作。幼なじみの利太と結ばれると信じていた女子高生・はとりが、思いも寄らない地味女子に最愛の人を奪われてしまうが、“ヒロイン”の座を取り戻すため、暴走気味に奮闘するさまをコミカルに描いている。

以前から原作漫画の大ファンで、「いつの日か、はとりを!」と願い、映画化が決まるずっと以前から密かに部屋ではとりが見せる変顔の特訓までしていたという桐谷は、「私の大好きなはとりちゃん。いつも一生懸命で表情がクルクルと変わるというイメージが自分の中にあったので、それを大事にしながら、監督と話し合いながら作っていきました」と役作りを明かす。

山崎が演じた利太は、クールでマイペースな男子。あることがきっかけで、地味なメガネ女子・安達(我妻三輪子)と付き合い始めるが……。「風のような男」というのが英勉監督から伝えられた利太のイメージだといい、「利太の魅力はつかみどころのない不思議なところと、母性本能をくすぐるダメなところ。人間らしくないところと人間くさいダメさ加減をいい感じで出せればと思っていました」。

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そして坂口は、学校一のモテ男で、暴走気味のはとりに惹かれていく弘光を演じた。「弘光はチャラそうだけど、人当たりがいいからそう見えるのであって、実は臆病で自分の周りに膜を作っているタイプ。その膜が意外と固いんです。軽そうに見えて、実は、はとりのことはちゃんと好きという部分もきちんと見せられるように意識しました」。

原作を深く、深く愛する桐谷が、山崎が利太、坂口が弘光を演じると聞いた際、どのような印象を抱いたのだろうか。「まず2人とも外見はピッタリだなと思いました。ただ坂口くんは雑誌とかで見ていると、ものすごくさわやかな印象が強かったので、一見チャラそうな弘光をどんな風に演じるんだろう? とすごく楽しみでした。というか、こんな年下のかわいい男の子2人に囲まれちゃっていいのかな? って(笑)」

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いざ共演して、桐谷は2人が持つパブリックイメージ――山崎=クールでやや天然、坂口=爽やかで完全無欠なイケメン――と素の本人たちのギャップにがく然とした。

「賢人くんはやんちゃだし突然、歌いだしたりする(笑)。坂口くんはひょうきんだし、なぜか変なポーズを決めていたり、床をゴロゴロ転がっていたり、オチのない話を延々としたり……。2人とも格好いいというよりも、おちゃらけているって感想の方が先に出てきます(笑)」

「クールだし……」とぼやく山崎だったが、英監督からも以前「いらないところで笑いを取りにいきたがる」と評されている。そう指摘すると、観念したように苦笑を浮かべ、こう語る。

「そもそも監督が『利太も小ネタとかやりたいでしょう?』って振ってくるんですよ。『え? やれるんですか?』と聞いたら『いや、そこまではやれないよ』とおっしゃるので、そう言われると俄然、燃えてやりたくなっちゃって。そうですね……、要はやりたいんです(笑)」。

一方、坂口は桐谷からの「変な人」という言葉に嬉しそうな笑みを浮かべる。

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「正直、そう言ってもらえるとホッとするというか、気が楽です。塩顔とか爽やかってイメージが先行しすぎているけど、全然、爽やかじゃないし!」。

かくいう桐谷もキャスター、モデルなどの活動による“才色兼備”のイメージを、スクリーンの中では変顔、衝撃の坊主頭などで見事にひっくり返している。「普段の私を知っている中学・高校時代の友達に言わせると、『桐谷美玲は変顔をしない』というイメージの方がわけが分からないらしいです(笑)」とのこと。それぞれにパブリックイメージを崩し、時に利用し作り上げたスクリーンの中の17歳。くっついたり離れたり、割り込んだり……そんな同級生のやり取りを堪能してほしい。

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