ブラック・ボックス 記憶の罠のレビュー・感想・評価
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謎深き作品にするために脱線しがち
総合:60点 ( ストーリー:50点|キャスト:65点|演出:70点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )
何が本当で何が本当じゃないのか。意識的に多数の場面を登場させることで、主人公も視聴者も混乱させる。そしてだんだんと真実に近づいていくという話である。
しかしシルヴァン・ガネムは実は存在しないけど、アルファベッドを入れ替えると違う人の名前になるとか、そんなの作品場の謎解きのためだけに作られただけだろう。企業買収の話とか、一人暮らししている兄のアパートの話とか、殺された看護婦の話とか、そういう前振りがありながら、それが結局本筋には関係がなかった。もっと大きな陰謀があるのかと思ったが、何かすかされた感じがする。
記憶が飛んだ
冒頭では走る車がコーナーで自転車に乗った少年をはねる映像。直後、ICUで「スパゲッティを刈る。ステキな仕事だ」を繰り返す男アルチュール。この時点で罠が仕掛けられている気がする・・・しかも、自転車の少年をはねたはずが、そんな少年はいないと言われるのだ。
とりあえずもらったメモをパソコンに入力してみるアルチュール・セリグマン。階段から落ちたこと、そして「シルヴァン・ガネムに殺される」「RP50」「テキサスは存在しない」などという気になる文。そして、退院したアルチュールは兄イヴァンに連絡が取れないこと、なぜシェルブールに来ていたのかわからなかった。メモをカードにして部屋中に貼り付け、記憶を取り戻すためヤクをやってみたりもした。朦朧とする意識でイザベル(コティヤール)と町を歩く。警察からの尋問、なんだか眠くなってくるほど断片の映像ばかり。元カノだったスチュワーデスとよりを戻してみたりもした。しかし、再度警察へ出頭を命ぜられ、帰ってみると元カノが惨殺されていた。頭がおかしくなり火を点けた・・・
と、再度ICUでの覚醒。前半部分はほとんど夢の中だったわけだ。その夢の中の出来事がヒントとなり、再体験するも、夢の中とは状況が違う。イザベルはスチュワーデスで、アリスという名前。しかもアルチュールの恋人だった(笑)。『エディット・ピアフ~愛の讃歌~』でオスカーを獲得する前はこんなハードな絡みもやってたんだな・・・そして、兄は幼い頃、何者かの車にぶつけられ崖の上で助けを求めているとき、車から出てきた男に突き落とされたという記憶がはっきり蘇ってきたのだ。そこで見た車のナンバーの断片が「RP50」。ついでに「テキサス」に関してはアルチュールの父親の浮気に関するものだった。その浮気相手が前半に出てきたスチュワーデス。そして、実際はゲイだった警察官に頼みナンバーを割り出すと、なんと主治医のコスカス。しかし、アルチュールは恨んでなどいなかった。それにもう時効だし・・・しかし、罪悪感に囚われていた。彼はアルチュールの足を撃つが、そのまま海に飛び込んだ・・・
1年ちょっと前に観た映画なのに、記憶が飛んでしまっていた。アルチュール自身の兄を殺してしまったのじゃないかという罪悪感で記憶は無意識に閉じ込められてしまってた。医者の方は30年間記憶を閉じ込めることもできなかった・・・これも辛いな。 記憶に残る映画じゃないけど、見る度に思い出せなくて頭が混乱してしまいそうな映画だ。
最後が惜しい
いわゆる「夢オチ」ものに近いが,いったい何がどうなっているのかが最後までわからず,謎が謎を呼ぶ展開はおもしろい。しかし肝心のオチがかなりの肩透かし。「彼」である必然性が感じられないし,これではあまりに都合が良すぎると思う。
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