スターレットのレビュー・感想・評価
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日差しと音とチワワ
エロいが面白くて余韻が残った
アメリカ・ロサンゼルスでポルノ女優のジェーンは、愛犬チワワのスターレットとともに、同業の友人メリッサらと一緒に暮らしていた。ある日、部屋の模様替えをしようとガレージセールに出かけ、そこで魔法瓶を購入した彼女は、その中から100ドル札が10枚ずつ丸められ、合計1万ドルもの札束を発見した。ジェーンは売主の老女セイディのもとへお金を返しに行ったが、魔法瓶を返品しに来たと勘違いされて門前払いされてしまった。困ったジェーンは偶然を装ってセイディに近づき、買い物や墓参りの送迎をしたり一緒にビンゴゲームに出かけたりするようになり・・・さてどうなる、という話。
ショーン・ベーカー 初期傑作選にて劇場鑑賞。
R18+の割には脱がないんだな、もしかしてグロの方?なんて観てたら、終盤になってなかなか過激なボカシ入りのセッ○スシーンもあり、映倫のレートに恥じないエロさだった。
メリッサはお金にだらしなくて男依存症なのか、途中から壊れてきて見苦しかった。セイディの所に行きジェーンの悪口を言うところなんか最悪。演じてたステラ・メイブは可愛かったけど。
ジェーン役のドリー・ヘミングウェイはスタイル抜群で笑顔が可愛かった。
チワワは見ていた ポルノ女優と未亡人の秘密、ってタイトルでDVDとして販売されていたらしいが、この邦題じゃあまず女性は観に行かないだろうし、男性も劇場には行きにくい。
スターレットに変えて良かったと思う。
観終わって、よくわからなかったところが2点あった。
セイディがスターレットのシッターをしていた時にいなくなって探してたシーンだが、あの時何が有ったのだろう?急にセイディの態度が変わった理由がよくわからなかった。
それと、最後の墓参りのシーン。子供は居ないと言ってたセイディには娘が居て、若くして亡くなってた、という事なんだろうけど、パリに行く前にその事をなぜジェーンに知らせたかったのかな?
機会があればもう一度観に行きたい。
観終わって余韻の残る作品で面白かった。
周波数は合わないけれど、ベターハーフだ、二人は「ビンゴ」をGETなのだ
ショーン・ベイカー、いいなぁ。
「なんという事もない庶民の毎日」が、実はこんなにも慈みとドラマに満ちていること、
そして目が離せないものなのだいうこと。それを僕らに教えてくれる。
そう。本作、筋書きは特にどうって事はないのだ。なのにそれを103分ポッキリで、忘れがたい大きな人間ドラマにまとめてくれているのだから、驚いてしまう。
たくさんの映画を観てきたが、僕はこれはきっと忘れないと思う。
ジェーンとセイディがそっぽを向きながら“秘密”を相手に明かすラスト。気づいていない振りをしてくれるお互いの優しさと赦し。
そのいじらしさの余韻が、もうとんでもなく素晴らしい。
(新居を探し、部屋を模様替えし=)自分の人生探しの途中にある娘ジェーン。その若きジェーンのお節介に、気難し屋のセイディは応えてくれて、めんどくさいけれど一緒にPARISに旅立ってくれるわけだ。
アノーラにはイーゴリがいた。
フロリダ・プロジェクトのムーニーにはウィレム・デフォーが。
そしてセイディにはジェーンがいる。
「人生にビンゴ」だ。
・ ・
まくしたてるルームメイトの女の子以外には、この主人公の二人は「とてもセリフが少ないお芝居」ではなかったろうか。街の雑音が凄くて人の声がかき消される前半。音楽もラストまでほとんど鳴らないし。
あちらへ向ける老女の横顔が心の動きをバラし、「ふんふん?」と言葉無しに年寄りを覗き込んでからかうジェーンの表情が朗らかで、
スーパーの駐車場や玄関先での無言のシーンがまたとっても良い。墓場や庭でもみんなが黙っている。
セリフ無しのシーンが繰り返し沁みる。
チワワのスターレットがいなくなり、友だちとなってくれたジェーンの事も失われるかもしれないことの、「喪失感」の張り裂ける淋しさで、乱れてしまうセイディが愛おしい。
セリフがこんなに少なくても、たぶん恐らく膨大な量の演出と「ト書き」で、台本はびっしりだったはずだ。
「年寄りの意地っ張り」を思い出すと、こうしてレビューしていてまたじんわりと胸が温かくなる。
笑ったり、涙こみ上げたりしながら、僕は監督の眼差しの優しさにすっかりやられてしまっていたのだ。
ショーン・ベイカー。いい人だ。
・ ・
この映画、上映の情報を知らせてくださったmoríhideさん、ありがとうございました。
また人を信じる心がよみがえってきました。
(「松本シネマセレクト」ショーン・ベイカー傑作集 上映会にて )
相変わらず良い、初期の頃の作品とは思えなかった。 毎度毎度「なんと...
82点。脚本がいい。
『アノーラ』の監督の作品で美女が出てくる話、それだけの情報で、あらすじ読まずに観ました。
情報をシャットアウトして観たので、話が進んでいくにしたがって起こることが、より衝撃的に感じ、より楽しめた。
これから、この作品を観る方は、僕みたいに、あらすじも読まず情報をシャットアウトして観てほしいです。
あらすじもネタバレに近い(笑)
最後は、つまり、セイディは…って思ってたってことなんだろうな。
ジーンとした。
これでショーン・ベイカー監督が好きになりました。
まだ観てない作品も観ていこうと思う。
『アノーラ』すら映画館スルーして、まだ観てないからね(笑)
評価は、高評価なのは間違いないんだけど、細かく点数つけるのがムズい(笑)
80~85点の間で厳しく82点にしたけど、85点でもいいような…
それぐらい良かった。
最後の余韻が凄かった…
ちなみに「ショーン・ベイカー 初期傑作選」のポスターは、この映画です。
またしてもショーン・ベイカーの魔法を体感
冒頭 ロスの送電鉄塔がエッフェル塔を模したアートみたいでした。
ジェーンはその生活環境から、もっとはすっぱで、自己主張の強い性格になってもおかしくないのに、優しくて、ナチュラルなとってもいい子ですね。
運転中、セイディのシワだらけの手をさりげなく握ってあげるシーンに性格が現れていました。
豊胸手術を勧められても、「いいよ、ちょっと怖いけど」と自然体。もっと考えた方がいいよ、とこっちが擁護してしまいたくなるくらいに。
ラストの墓碑銘を見た後の彼女の表情と、風になびく髪が頬にかかるショットがとても素晴らしい。
S・ベイカー監督常連で私のお気に入りマイキー・オヘイアを今回も拝顔できて嬉しかったです。「アノーラ」では、アノーラが離婚手続きに行く施設の事務職員役でしたが、今回は怒り狂ったメリッサにディスプレイを破壊される秘書役で出ていました。
埋もれていた名作
とても引き込まれるストーリーで先が読めない。 どう言うエンディング...
邦題は残念だが素晴らしい作品
見返りを求めない
アイドルとかセクシー女優に深い思い入れをもつ人のことを、少し理解できたように思う。
それは彼女らの献身性に心をうたれるからなのではないか。
見ず知らずの人間の好奇や妄想や性欲の対象となりながら、嫌な表情ひとつ見せることなく、まるで自分一人のためだけに存在しているかのように振る舞う。
人と心がつながりたくても思うようにならず、孤独な心を癒したり誤魔化したりするための方法が多様化した現代にあって、彼女たちはまさしく女神なのだ。
ドリー・ヘミングウェイ(あの文豪ヘミングウェイの曾孫らしい!)演じるポルノ女優は、まさにそのことにかけて、男性はおろか、人生をむなしく生きる老女の心まで掴んでしまう天才的な献身性を見せる。
ほとんど見返りを求めないその姿は、同居する強欲で自己中心的な女優によって、いっそう光り輝く。
それにしてもひどい邦題だと思う。
原題はstarlet。主人公が飼っているチワワの名前である。
そのチワワは、終盤、飼い主の心が静かに波打つ原因を見ていないのだから。
邦題が、作品のテーマや雰囲気、全ての面において嘘をついている。
魔法瓶と罪悪感
健やかに逞しい女性像を可愛さもありつつ魅力的に描くショーン・ベイカーの手腕。
まぁ「タンジェリン」は女性?特殊なヒロイン二人ではあるが。
老婆と心を通わせる関係性を中心に周りが個性的なキャラだったり興奮するような描写など飽きがこない映像で楽しませてくれる。
非常識な言動に行動ばかりの同居人は最後まで意地汚いけれど金を取らなかったのには少し関心!?
度が過ぎたような行動にビックリもするが根はシッカリ者で強い女性像をキュートに演じたヘミングウェイの孫ってまたビックリ!!
チワワ逃亡で途方に暮れて涙するお婆ちゃんの姿に可愛さが溢れ癒される。
今や「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」で認知されているショーン・ベイカーでもあり、当時は無名だったからこその邦題だとは思うがあまりにもセンスがない、殺人事件とか陳腐なサスペンス映画をイメージしてしまう酷さ加減。
まんま、チワワの名前に直すベシ!?
ドリーヘミングウェイ
ショーンベイカー監督。ホットパンツ、ボクサーパンツ姿でガリガリで手足の長いドリーが素晴らしい。所謂ケイトモス系なのだけれど、ポルノスタジオのカットは多分ボディダブルなのだけれど、これにボカシを入れてしまうリアルろくでなし子的な文化度の低さが恥ずかしくなる。美しき諍い女には別にボカシを入れても入れなくてもどちらでも良いけれど、チワワは見ていたには断固入れるべきではない。ドリーはまるでinto the wildのクリステンスチュアートのよう。やたらとコスチュームがかっこいい。おまけに音も良くて、赤のマスタングに青のボロい86みたいなスポーツカーとか車が、キマッてるし、車の中にいるドリーのショットがやたら素晴らしい。もちろんおばあちゃんもチワワも赤毛にしちゃう同居人もみな素晴らしい。ショーンベイカーはまるでフィンチャーというかクレイグブリューワーみたいというか、ジョナサンデミっぽくもあり、MTVを完全に昇華した感じ。netflixのスタテンアイランドサマー?がすごく見たい。あとtangerine。こういう映画を撮れるアメリカはというかアメリカ映画はやはり凄く豊かだ。2010年代の映画の最前線だと思う。
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