スターレットのレビュー・感想・評価
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またしてもショーン・ベイカーの魔法を体感
冒頭 ロスの送電鉄塔がエッフェル塔を模したアートみたいでした。
ジェーンはその生活環境から、もっとはすっぱで、自己主張の強い性格になってもおかしくないのに、優しくて、ナチュラルなとってもいい子ですね。
運転中、セイディのシワだらけの手をさりげなく握ってあげるシーンに性格が現れていました。
豊胸手術を勧められても、「いいよ、ちょっと怖いけど」と自然体。もっと考えた方がいいよ、とこっちが擁護してしまいたくなるくらいに。
ラストの墓碑銘を見た後の彼女の表情と、風になびく髪が頬にかかるショットがとても素晴らしい。
S・ベイカー監督常連で私のお気に入りマイキー・オヘイアを今回も拝顔できて嬉しかったです。「アノーラ」では、アノーラが離婚手続きに行く施設の事務職員役でしたが、今回は怒り狂ったメリッサにディスプレイを破壊される秘書役で出ていました。
埋もれていた名作
とても引き込まれるストーリーで先が読めない。 どう言うエンディング...
邦題は残念だが素晴らしい作品
見返りを求めない
アイドルとかセクシー女優に深い思い入れをもつ人のことを、少し理解できたように思う。
それは彼女らの献身性に心をうたれるからなのではないか。
見ず知らずの人間の好奇や妄想や性欲の対象となりながら、嫌な表情ひとつ見せることなく、まるで自分一人のためだけに存在しているかのように振る舞う。
人と心がつながりたくても思うようにならず、孤独な心を癒したり誤魔化したりするための方法が多様化した現代にあって、彼女たちはまさしく女神なのだ。
ドリー・ヘミングウェイ(あの文豪ヘミングウェイの曾孫らしい!)演じるポルノ女優は、まさにそのことにかけて、男性はおろか、人生をむなしく生きる老女の心まで掴んでしまう天才的な献身性を見せる。
ほとんど見返りを求めないその姿は、同居する強欲で自己中心的な女優によって、いっそう光り輝く。
それにしてもひどい邦題だと思う。
原題はstarlet。主人公が飼っているチワワの名前である。
そのチワワは、終盤、飼い主の心が静かに波打つ原因を見ていないのだから。
邦題が、作品のテーマや雰囲気、全ての面において嘘をついている。
魔法瓶と罪悪感
健やかに逞しい女性像を可愛さもありつつ魅力的に描くショーン・ベイカーの手腕。
まぁ「タンジェリン」は女性?特殊なヒロイン二人ではあるが。
老婆と心を通わせる関係性を中心に周りが個性的なキャラだったり興奮するような描写など飽きがこない映像で楽しませてくれる。
非常識な言動に行動ばかりの同居人は最後まで意地汚いけれど金を取らなかったのには少し関心!?
度が過ぎたような行動にビックリもするが根はシッカリ者で強い女性像をキュートに演じたヘミングウェイの孫ってまたビックリ!!
チワワ逃亡で途方に暮れて涙するお婆ちゃんの姿に可愛さが溢れ癒される。
今や「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」で認知されているショーン・ベイカーでもあり、当時は無名だったからこその邦題だとは思うがあまりにもセンスがない、殺人事件とか陳腐なサスペンス映画をイメージしてしまう酷さ加減。
まんま、チワワの名前に直すベシ!?
ドリーヘミングウェイ
ショーンベイカー監督。ホットパンツ、ボクサーパンツ姿でガリガリで手足の長いドリーが素晴らしい。所謂ケイトモス系なのだけれど、ポルノスタジオのカットは多分ボディダブルなのだけれど、これにボカシを入れてしまうリアルろくでなし子的な文化度の低さが恥ずかしくなる。美しき諍い女には別にボカシを入れても入れなくてもどちらでも良いけれど、チワワは見ていたには断固入れるべきではない。ドリーはまるでinto the wildのクリステンスチュアートのよう。やたらとコスチュームがかっこいい。おまけに音も良くて、赤のマスタングに青のボロい86みたいなスポーツカーとか車が、キマッてるし、車の中にいるドリーのショットがやたら素晴らしい。もちろんおばあちゃんもチワワも赤毛にしちゃう同居人もみな素晴らしい。ショーンベイカーはまるでフィンチャーというかクレイグブリューワーみたいというか、ジョナサンデミっぽくもあり、MTVを完全に昇華した感じ。netflixのスタテンアイランドサマー?がすごく見たい。あとtangerine。こういう映画を撮れるアメリカはというかアメリカ映画はやはり凄く豊かだ。2010年代の映画の最前線だと思う。
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