スターレットのレビュー・感想・評価
全13件を表示
2回目鑑賞しました。やっぱり最高。
スターレットって女の名前の愛犬、実はジェーンのことなんじゃ?スターレット自身も可愛すぎだが、セイディに甘えるように付きまとうジェーンが可愛かった。ジェーンはおカネの真実を語り、二人パリ旅行を楽しむ!そう信じます。
自分から見せること
勝手に、クールで殻に閉じた感じのジェーンが気ままなセイディとの交流を通して変わっていく話なのかと思っていた。
実際は、空気が読めて世話焼き、人に好かれやすいジェーンと、頑固で他人を信用しないセイディというキャラクターだった。
ジェーンの同僚・メレッサの行動にはざわざわしたけど、彼女の綱渡りで危ない感じはすごくリアルで印象的だった。
胸に刺さったシーンは、スターレットがいなくなって泣きながら立ちすくむセイディ。何歳になっても人は途方に暮れて泣くことがある。
メレッサの告げ口に揺らぎながらもジェーンを信じ、セイディが自ら先に秘密を打ち明けることにしたラストは圧巻。そうきたかと思った。その後のふたりは描かず、驚くジェーンの反応までで場面を切るところもいいなと思う。
セイディの告白を受けたジェーンが、きっと今度は旅券の真相を言うのではないだろうか、そしてちゃんと二人はパリの旅を謳歌したと思いたい。
またしてもショーン・ベイカーの魔法を体感
冒頭 ロスの送電鉄塔がエッフェル塔を模したアートみたいでした。
ジェーンはその生活環境から、もっとはすっぱで、自己主張の強い性格になってもおかしくないのに、優しくて、ナチュラルなとってもいい子ですね。
運転中、セイディのシワだらけの手をさりげなく握ってあげるシーンに性格が現れていました。
豊胸手術を勧められても、「いいよ、ちょっと怖いけど」と自然体。もっと考えた方がいいよ、とこっちが擁護してしまいたくなるくらいに。
ラストの墓碑銘を見た後の彼女の表情と、風になびく髪が頬にかかるショットがとても素晴らしい。
S・ベイカー監督常連で私のお気に入りマイキー・オヘイアを今回も拝顔できて嬉しかったです。「アノーラ」では、アノーラが離婚手続きに行く施設の事務職員役でしたが、今回は怒り狂ったメリッサにディスプレイを破壊される秘書役で出ていました。
埋もれていた名作
ショーン・ベイカー監督版「井戸の茶碗」
この映画では、茶碗でなくてチェック柄の水筒型魔法瓶。水筒と聞いて連想するのは「子ども」。子どもと一緒に家族でハイキング、子どもが幼稚園や学校の遠足で持って行くもの。アメリカでもそういうイメージはあるのかなあ。
魔法瓶をガレージセールに出していたセィディおばちゃんは気難しそうな人で、その魔法瓶を買ったジェーンに返品不可!と言い放つ。でもその中には信じられない程たくさんの高額紙幣が入っていた!ジェーンは返しに行くが、話も聞かず、返品不可!の繰り返し。じゃあ!とブランドもの買ったり豪勢にチップを払ったり。でもなかなか減らないお金。どうにかセィディに接近して、スーパーへの買い物や亡き夫の墓参りの車送迎を申し出ることに成功する。警察沙汰にもなったがジェーンに悪意はないことがわかる。ジェーンの人懐こくてめげなくて賢い雰囲気は、愛犬チワワのスターレットに似ていて笑ってしまう。
若くて美しいジェーンは同居させてもらっている友達メレッサと同じ仕事、ポルノ女優だ。メレッサは性格が強烈でかなり問題がある。ジェーンはどうにかおさめる役割。二人が所属しているエージェントのトップはカレン・カラグリアンが演じている。ショーン映画の常連!アダルト系にもコミコンのようなのがあることを知ってビックリした!
パリが大好きと言いながら実は行ったことがないセィディに、ジェーンはパリ旅行を持ちかける。ファーストクラスのフライトでパリの高級ホテルに1週間!セィディは、行かない!とつれない。そしてBINGO会場。ジェーンが先にBingoになったらパリ行きだぞ!ジェーンはBingo受付でカードを全部買う。マーカー・チェックがすごく大変!どちらが勝っても二人の間には固い優しい友情関係ができている。メリッサがジェーンのお金のことをチクリに来てもセィディの気持ちは変わらない。
空港に行く途中で墓参りをすると言うセィディ。あなたがお花持って行って、と初めてジェーンに言う。地面にはめ込まれた一つの墓石にはセィディの夫の名前。その隣には女の子の名前(多分18歳位で亡くなっている)が刻まれた墓石。セィディは子どもは居なかったと言っていたのに。ジェーンは茫然と佇む。
あの魔法瓶はその女の子が使ってたものなのかな?スターレットを一時的に預かったセィディ。スターレットがどこかに行ってしまい探し回る。その時、彼女に何が起こり何を考えたんだろう?映画が終わっても、ゆっくりと思いを馳せる時間と空気を残してくれる作品。とてもよかった。
おまけ
1)この映画出演が生涯で唯一のベセドカ・ジョンソン(セィディ役)は、「スターレット」が2012年に公開され、翌年の2013年に87歳で亡くなったとwikipediaにあった。
2)ジェーン役、美しく魅力的で聡明、自然でとてもいい女優だ。
3)メレッサはポールダンスがなかなかうまくできなくて彼氏にムカつかれる。映画ANORAでは、アノーラが素晴らしいポールダンスを見せてくれた。真面目な練習の賜物だろう!
とても引き込まれるストーリーで先が読めない。 どう言うエンディング...
邦題は残念だが素晴らしい作品
観客に想像を託す作品
評価も悪くなさそうだし、チワワ好きだしなんとなく観てみた作品。
原題はstarlet.
チワワの名前でもあり“未来のスターとして宣伝される女優”の意もあり。
おばあさんが、チワワの名前を聞いて「男の子なのに?」というセリフがあったから、きっとそういう意を含んでいるんだろうなぁ、と観終わって思う。
今の生活(状態)に嫌気がさして、自分の部屋を模様替えしようと、ガレージセールで小物やらを探す主人公はそこそこ売れているポルノ女優。
たまたまそこで花瓶として使おうと買ったサーモスに何と大金が入っていて。
確認しに行くが、どうやら持ち主のおばあさんは全く気づいていないらしい。
気ままにお洋服を買ったりショッピングもしてみるが、やはり気が咎めるようで、単なる親切を装っておばあさんの手伝いを始める。
最初は不審がっていたおばあさんだけれど、ふたりは次第に心を通わせて、仲の良い“友達”のような関係に。
旦那さんを亡くし独り身のおばあさん。
同居している同じくポルノ女優の友達は薬漬けで、会社の規則上彼氏もつくれない孤独な主人公。
お互いにぽっかり空いている溝を埋めあっているよう。
ある時、おばあさんの夢であるパリに連れて行ってあげようとサーモスに入っていたお金の残りを全てつかってチケットやらホテルを手配。
ふたりで楽しみにしていたパリ旅行。
その直前に、主人公の同居の女がおばあさんに「彼女はお金を盗んで、その罪悪感だけで世話をしている」と告げ口。
おばあさんはショックでパリ行きを断念しようとするが…行くことに。
その空港に向かう途中で、いつもの旦那さんのお墓に寄るよう主人公に伝え。
主人公に花を添えてきてと伝える。
そので初めて知った事実。
子どもはいないと言っていたけれど、旦那さんと一緒に亡くなっていたのだ。
その事実がカミングアウトされてエンディング。
チワワのstarletをおばあさんに預けている間に何があったのだろうか。
ただの脱走ではなく、おばあさんは何か酷く辛いこと?嫌なこと?があったはずだけれど、それについては触れていなかったり…
結局おばあさんの家族はなんで亡くなってしまったのかも気になるところ…
観る人にいろいろと想像させる作品だった。
見返りを求めない
アイドルとかセクシー女優に深い思い入れをもつ人のことを、少し理解できたように思う。
それは彼女らの献身性に心をうたれるからなのではないか。
見ず知らずの人間の好奇や妄想や性欲の対象となりながら、嫌な表情ひとつ見せることなく、まるで自分一人のためだけに存在しているかのように振る舞う。
人と心がつながりたくても思うようにならず、孤独な心を癒したり誤魔化したりするための方法が多様化した現代にあって、彼女たちはまさしく女神なのだ。
ドリー・ヘミングウェイ(あの文豪ヘミングウェイの曾孫らしい!)演じるポルノ女優は、まさにそのことにかけて、男性はおろか、人生をむなしく生きる老女の心まで掴んでしまう天才的な献身性を見せる。
ほとんど見返りを求めないその姿は、同居する強欲で自己中心的な女優によって、いっそう光り輝く。
それにしてもひどい邦題だと思う。
原題はstarlet。主人公が飼っているチワワの名前である。
そのチワワは、終盤、飼い主の心が静かに波打つ原因を見ていないのだから。
邦題が、作品のテーマや雰囲気、全ての面において嘘をついている。
魔法瓶と罪悪感
健やかに逞しい女性像を可愛さもありつつ魅力的に描くショーン・ベイカーの手腕。
まぁ「タンジェリン」は女性?特殊なヒロイン二人ではあるが。
老婆と心を通わせる関係性を中心に周りが個性的なキャラだったり興奮するような描写など飽きがこない映像で楽しませてくれる。
非常識な言動に行動ばかりの同居人は最後まで意地汚いけれど金を取らなかったのには少し関心!?
度が過ぎたような行動にビックリもするが根はシッカリ者で強い女性像をキュートに演じたヘミングウェイの孫ってまたビックリ!!
チワワ逃亡で途方に暮れて涙するお婆ちゃんの姿に可愛さが溢れ癒される。
今や「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」で認知されているショーン・ベイカーでもあり、当時は無名だったからこその邦題だとは思うがあまりにもセンスがない、殺人事件とか陳腐なサスペンス映画をイメージしてしまう酷さ加減。
まんま、チワワの名前に直すベシ!?
ドリーヘミングウェイ
ショーンベイカー監督。ホットパンツ、ボクサーパンツ姿でガリガリで手足の長いドリーが素晴らしい。所謂ケイトモス系なのだけれど、ポルノスタジオのカットは多分ボディダブルなのだけれど、これにボカシを入れてしまうリアルろくでなし子的な文化度の低さが恥ずかしくなる。美しき諍い女には別にボカシを入れても入れなくてもどちらでも良いけれど、チワワは見ていたには断固入れるべきではない。ドリーはまるでinto the wildのクリステンスチュアートのよう。やたらとコスチュームがかっこいい。おまけに音も良くて、赤のマスタングに青のボロい86みたいなスポーツカーとか車が、キマッてるし、車の中にいるドリーのショットがやたら素晴らしい。もちろんおばあちゃんもチワワも赤毛にしちゃう同居人もみな素晴らしい。ショーンベイカーはまるでフィンチャーというかクレイグブリューワーみたいというか、ジョナサンデミっぽくもあり、MTVを完全に昇華した感じ。netflixのスタテンアイランドサマー?がすごく見たい。あとtangerine。こういう映画を撮れるアメリカはというかアメリカ映画はやはり凄く豊かだ。2010年代の映画の最前線だと思う。
全13件を表示