「それとこれとは話が別なのでは?」マイ・インターン たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
それとこれとは話が別なのでは?
ファッションサイトを運営する会社のCEOジュールズと、インターン制度によりやって来た70歳の老人ベンとの交流を描くハートウォーミング・コメディ。
監督/脚本は『恋愛適齢期』『ホリデイ』のナンシー・マイヤーズ。
主人公ベンを演じるのは、『タクシードライバー』『世界にひとつのプレイブック』の伝説的俳優ロバート・デ・ニーロ。
ベンの雇用主であるCEOジュールズを、『プラダを着た悪魔』『レ・ミゼラブル』のオスカー女優アン・ハサウェイが演じる。
ロバート・デ・ニーロとアン・ハサウェイの共演が話題を呼んだ作品。
アン・ハサウェイが仕事に追われるファッション業界の人間を演じているという『プラダを着た悪魔』の続編か?と勘違いしてしまいそうな作品だが、全く関係はない。
仕事と家庭でいっぱいいっぱいになっている女性の元に、物腰柔らかでなんでも熟す超高性能なシルバーヘアのダンディな紳士がやってくるという、働く女性の妄想を映画化したような作品。
本作の見どころは何と言ってもロバート・デ・ニーロ!
アン・ハサウェイもオシャレで魅力的だが、ボブの醸し出す大人の魅力の前では分が悪い。
何気ない仕草がキュートで、なんでも出来て頼りになり、子守までしてくれる太極拳お爺ちゃん。
本作は2時間じっくりとお爺ちゃんを愛でるという、「爺萌え映画」という新ジャンルを確立したと言っても過言ではない!
ベンの前向きで何事にもチャレンジしていく姿勢には勇気づけられるし、自分も頑張ってみようという気にさせてくれる。
シニアを応援する素敵な映画であることは間違いない!
…とはいえ、映画全体の出来は正直イマイチ。
温い。温い。温すぎる!
仕事の悩みも家庭の悩みもシリアスさが足りないんだよー。
不倫も簡単に許すし。あの旦那絶対また浮気するね。あのタイプは間違いない。
最後までこの物語の核は外部から新しいCEOを入れるかどうかということに終始する。
そんなもん入れりゃええやんけ、と思いながら見てしまった。
家庭の時間を持つために外部からCEOを入れることを考えていたが、やはり自分がCEOを続けることを決意する。だって仕事が好きだから!
…うん。なるほど。それはわかりました。
家庭の問題もなんかあっさり解決したみたいだし、良かった良かった。
でも、これ元々は会社が急成長しすぎたせいでうまく回せなくなっていて、長時間労働や配送・梱包ミスが出てしまっているという話でしたよね。
だから外部から経験豊富な人材を引き入れて、問題解決にあたるという話でしたよねぇ。
…結局このあたりの問題は解決しとらんけど!
この辺りの描写がいい加減。
家庭の時間が取れないという問題の回答と、会社がパンク寸前であるという問題の回答は本来別の物であるはずなのに、一緒くたにしてしまっているところに大変違和感がありました。
ベンも結局ジュールズの良き友人として収まってしまい、彼の豊富な経験で会社の業績を伸ばすとか、トラブルを解決するとかいったドラマが展開していかなかったのも残念。
あと、ベン以外のシニア・インターンの人達どうなった?
アジア人っぽい人なんて一言も喋ってないぞ。
この映画はシリアスなものを全て排除しているため、気軽に見やすい作品ではあるのだが、その分含蓄のあるテーマ性などは皆無。
ただの暇つぶしにしかならない、毒にも薬にもならない作品だった。
たなかなかさん、こんばんは!
なるほど〜〜。確かに、会社の問題と家庭の問題がごっちゃになり結局、解決してないし、ブラック会社の側面も放置されてますね。まあ感覚だけで私は見ましたが、他の方のレビューを見て気づく典型みたいでした(笑)