「ロバートデニーロが素晴らしい」マイ・インターン ちいさんの映画レビュー(感想・評価)
ロバートデニーロが素晴らしい
ロバートデニーロ演じる70歳のベンが、ファッションサイト会社にシニアインターンとして応募し、見事採用される。新しいデスクを与えられて、ペンや道具類をひとつひとつ机に丁寧に並べていく。70歳にして新しい仕事に挑戦するワクワクした気持ちが仕草から伝わってくる。ジュールズの直属の部下となったベンは、ジュールズの力になれることなら何でも喜んでやる。慎重に距離を保っているが、ある夜、他に誰もいなくなった会社でベンとジュールズが次第に心を近づけていく。倉庫を改装した会社の前は、実はベンが40年間働いてきた電話帳の印刷会社だったことが明かされる。その時のジュールズの驚いた表情。「窓からみえるすずかけの木がすきなの」「僕はその木が植えられた時を知ってる」ずっと働き続けてきた人生の重さ。ずっと誠実に淡々とやってきた男の誇り。でも彼は過去を振り返らない。たとえどんな仕事であっても文句を言わず、ただのジュールズの力になりたいというまるで聖者のような存在だ。周りの仲間たちと直ぐにうちとけ、誰からも愛される。当意即妙に適切な言葉をかけられ、心が弱ったときにも肩を貸してくれる。必要以上に押し付けがましくないが大切なことはしっかりと言ってくれる。ちょっと出来すぎな気もするが、こんな理想的な人間に憧れる。現実には難しいだろうが、働く喜び、誰かの役に立ちたいという純粋な気持ちには心を打たれる。一人も悪人がでてこないお伽ばなしのような素敵な映画だった。
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