「晩年はかくありたい、と思える紳士像。」マイ・インターン ゴールド寿司さんの映画レビュー(感想・評価)
晩年はかくありたい、と思える紳士像。
最先端のアパレルネットショップという、全く畑違いの若者会社に、シニアのインターンとして前向きに突入していくロバート・デ・ニーロ演じるベンは、「魅力的な老人像」を、その絶妙な振る舞いを持って我々に教えてくれた。
普通なら萎縮して何も出来ない、ついていけないはずのこの環境を、彼は心から楽しんでいる。自信を持って構えて己を崩さず、しかし柔軟に、職場環境に対応していく。その身のこなしは素晴らしいの一言に尽きる。
笑顔と落ち着き、そして人生経験を積んだ男性だからこそ出来る立ち振る舞いで、接する相手を幸せな気持ちにさせ、決して雄弁ではないが、的確な助言をし、相手を笑顔で見守って、必要な時は手を差し出してくれる。
彼に関わった人間は、いろんな意味で彼の魅力や必要性を感じるようになる。
なんてかっこいいんだ・・・この映画を観た男性諸君は、このデニーロ演じるベンを見れただけでも、人生のアドバンテージを得られたかも知れない。
ヒロインのアン・ハサウェイ演じるジュールスは、若くして会社を立ち上げたバリバリのキャリアウーマンである傍ら、家族や社員にも気を使う、ちょっと親近感の沸く女性。仕事と家庭の両立に悩む、まるで日本人既婚男性の様な立場だが、その男なら誰でも経験する難しさと、女性ならではの繊細なメンタルから、どうして良いか分からなくなりパニックになる。
ベンとの出会いは、否定的だった彼女を少しずつ懐柔してゆく。
ベンは決して完璧な紳士像ではなく、非常に人間的だ。そこがまた親しみやすく、また人間的に「可愛い」のである。
歳を重ねていく上で、男なら一度は観ておきたい映画。
そして職場のオジサマの魅力を再発見できるかもしれないので、若い女性にも是非観て頂きたい(笑)。