「なんともゴージャスな映画」マリーゴールド・ホテル 幸せへの第二章 とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)
なんともゴージャスな映画
浮気についてああいう解決!!!(笑) 侘びも寂びもかみしめたシニア世代にしかできないだろうな。
だけど、小津監督の映画とは真逆の登場人物たち。円熟はしているけど、決して達観はしていない。
国宝級の俳優たちの静かな競演?と思っていたら、あれっ?。
前作未鑑賞。関係性や人物背景は?な部分も。前作で確認したくなる。
『スラムドッグ~』の静かな思慮深い役とは違う、勘違い男の、コメディでも今時使わないような短絡的なドタバタが主軸。
そこに、宿泊客達のそれぞれのストーリー(日常)が並行して進んでいく。
”日常”だから、ある時は交錯し、ある時は並行し、ラストは人生の一大イベントでまとめられつつ、次回作への布石?のようなエピソードも…。
”映画のストーリー”としてはもう少し。それぞれのエピソードの寄り糸が寄られていると”物語”を観た気になるんだけどと不満。マッジやミュリエルのエピソードはもう少し深めてほしかったかな。
とはいえ、ジュディさんやマギーさん、ビル氏の、心の様々な機微や躍動感を表現しつつも、その凛としたたたずまい、身のこなしに見惚れる。かわいらしくもかっこいい。
上司Mの印象が強いジュディさん演じるイヴリンが、,マギーさん演じるミュリエルに相談する時のかわいらしさ。
マコガナル先生の面倒見の良さと違うけれど、慕いたくなるマギーさん演じるミュリエルの気高さ。
デイビット氏はたった2シーンでキメル。
そんな有様に、自分の未来を重ねたくなる。
そして、ソニーの母、運転手、イブリンの共同事業者達インド勢に惹きつけられる。HPにはソニーの母と婚約者を演じた女優しか載っていないけど、運転手・イブリンの共同事業者にも注目したい。ギア氏よりカッコ良かった。
ちょっと、イギリスの植民地支配的な価値観が気になる(あえて主要人物がインドの方を同等に扱っている風に描かれているけど、大方のインドの人々は主要人物に奉仕する人々)けど、
後半はとにかく楽しくって、ゴージャスで、気持ちがあたたくなり、”マリーゴールドホテル”への移住を計画したくなる(笑)。
インドの風物・景色、パーティの様子に旅行した気分になる。
年取ることを恐れている人にこそ観ていただきたい映画。
「望むことと恐れることの違いって?」心に沁み入り、わが身を振り替えさせられる。