劇場公開日 2015年10月24日

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「女優」アクトレス 女たちの舞台 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5女優

2020年10月22日
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鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

知的

寝られる

例えば、往年の名作がリメイクされる。主演は新進の女優。オリジナル主演の今や名女優も出演。
映画ファンならワクワクだろう。
が、当事者はどうだろう。
いつまでもトップと若さとその役であり続けたい女優なら。

名女優のマリア。
ある日、出世作のリメイク出演をオファーされるも、無論主演ではなく、出演を頑なに拒否。
リメイク主演の新進女優の度重なるマスコミお騒がせに幻滅。
昨今のスーパーヒーロー映画をチクリ。
映画業界の舞台裏も。

劇中の名女優に、カンヌ、ヴェネチア、ベルリン、オスカー、セザール受賞の本物の名女優、ジュリエット・ビノシュ。さすがの名演。
クロエ・グレース・モレッツが新進女優のワガママぶりを見せ、これが素だったら…?
会心の好演を見せたのは、ジュリエット演じるマリアのマネージャー役のクリステン・スチュワート。若いながら仕事が出来、仕事の面でもプライベートでも良き理解者、相談相手。時には苦言も呈す。見てると、単なるパートナー以上の関係も感じられ…。クリステンにとってはキャリアベスト級といっていいのでは?

ストーリーは平坦。
風景は絶景。

映画業界の舞台裏と言うより、女のドラマ。
若い女優なんかに負けたくない。
リメイクなんかされて、私の役を取られてなるもんですか。
一人の女優にとっても映画ファンにとっても譲れない役もある。
『風と共に去りぬ』のスカーレットはヴィヴィアン・リー。『ローマの休日』のアンはオードリー・ヘプバーン。『サウンド・オブ・ミュージック』のマリアはジュリー・アンドリュース…。

悲しいかな、老いは確実にやってくる。
幕は自分で下ろす。
新しい幕が上がる。
女優から女優へ。

近大