ルック・オブ・サイレンスのレビュー・感想・評価
全23件中、21~23件目を表示
力強い絵に魅せられる
色彩豊かの絵が展開される中、悲惨な話が告白されゆく。こうやって殺した、ああして殺したと実演を込めて話される内容は、事実なのだろうと思うのだが、映画の中の絵があまりにも美しすぎるために、何か御伽噺のように見えてしまう。恐らく、それは告白する側に罪悪感というものが皆無だからなのだろう。世間話と同様に虐殺の話をするその姿を見ていると、思わず吹き出したくなる瞬間がある。政治という衣を着た人殺しのやるせなさ…被害者家族にとっては、話のどの部分も笑えるものではない、映画の中でその主張を強く感じさせられる。
起こってしまった悲惨な過去をどうしたらよいものかと、ただただ途方に暮れる思い…。
惨禍を引き起こした当事者そしてその加害者すべてが地に帰ろうとも、禍根は永久に残ってしまうのではなかろうか。
そんなやるせない気持ちが湧いてくる。
インドネシア1960年代の共産主義者大虐殺の実行犯に虐殺の再現映画...
インドネシア1960年代の共産主義者大虐殺の実行犯に虐殺の再現映画を持ちかけた前作と比較してまっすぐストレート。散々得意げに虐殺を語った実行犯に「実はそこで殺されたのは私の兄なんです」と言う眼鏡検査技師アディ。殺人者たちの眼は泳ぎ、過去は忘れろさもないと、と恫喝する者、過去はどうあれ今は兄弟だと言う者、様々。アディは言葉を選び、沈黙し虐殺者と握手をし、去る。これを見ている大半の日本人の観客は虐殺者たちの家族の立場に居ながら、殺された者の視線で見ていくことになってしまう。被害者の弟に見つめられながら「あれは国家のためだった」と言い抜けようとする実行犯たちに言いようもなく嫌悪を感じながら、その時どうできたか、明日起こったら何ができるかはまったく自信がない。
全23件中、21~23件目を表示