「アイドルの自分探しに、角(カド)も取れちゃったという」ホーンズ 容疑者と告白の角 しんざんさんの映画レビュー(感想・評価)
アイドルの自分探しに、角(カド)も取れちゃったという
ダニエル・ラドクリフ。
「ハリー・ポッター」シリーズ終了後の、自分探し。
「オレ、プリ夫兄さんみたいに、汚れの演技派でいくよ」
と言ったか、言わなかったかはおいといて、この風貌と焦りは、そう、レオナルド・ディカプリオ兄さんのまあ、フォロワーだろう。
だが、果たしてできた作品は、アイドルの、アイドル脱皮に取りつかれた珍妙な作品となった。
でも、まあ、そんなもんだ。焦らず徐々に変わればいい。まだキャリアの貯金はあろう。
だが、アジャ監督には非常に足を引っ張る作品となったように思われる。
アレクサンドル・アジャ。
「ハイテンション」「ヒルズ・ハブ・アイズ」「ミラーズ」そして「ピラニア3D」。
ある意味「着実な」キャリア(笑)。だが本作は、アイドルのわがままにすっかり角(カド、ね)が丸くなった格好の、キャリアに思いっきりブレーキをかけかねない、はしにも棒にも掛からない、アメリカン・ティーン・ライトノベル映画に着地した。
まず、角の設定が全然活きていない。おそらく、彼女の死地で、偶像破壊し、ションベンまき散らしたせいで、悪魔の力を得たことになったのだろう。だが正直になる、本性があらわになる、というのが、見せ方が全然面白くなく、しょうもないシモの話ばかり。
しかしそれ以上に最もまずいのは、その能力で、犯人探しもの、として成り立たないでしょ?身近で起こった事件なんだから、最強の能力である。
ヘビとお友達になる、というのも、だからか、話を単に引き延ばしているだけに過ぎない。
唯一その設定に変化をつけるのが、被害者の十字架なのだが、その十字架の設定もかなりいい加減だ。
つけていると、主人公の角が見えず、その力に影響を受けない、その設定はイイ。だがそれを主人公がつけると、神になり、外すと悪魔になるのはさすがに都合のよすぎるアイテム。
そして犯人。なぜそのキーアイテムの十字架をしていたのか。いや、していた、というのは、そのため、角が見えていなかったという、話のヒネリとしていいが、そもそも、そんな重要証拠を身につけてちゃいかんでしょ?
そもそも犯人が狂ってた、という説得力がない。
また、被害者の、主人公ほか周りのヤロウを惑わす言動の数々があまりにも適当すぎる。そしてそいつらがこぞって、被害者に惚れてたというのも、ビッチしかいないクソ田舎な環境であっても、さすがに無理がある。
追記
おっと、主人公。
被害者はこの主人公の一体何がよかったんだろうか。
答え
「アイドルだから」