劇場公開日 2015年11月14日

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「本作ではなく橋口監督の次回作品に早くも期待します!」恋人たち Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0本作ではなく橋口監督の次回作品に早くも期待します!

2016年3月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

難しい

この世の中は不公平なものなのだ!
公平な事など一つも無いのかも知れない!
もしも世の中で公平なものが有るとすれば、
命あるものは必ず死を迎える事。
そして、人間に与えられた、1日の時間が
皆、24時間で有る事位しか公平な事は無い!

だが、そのちっとも公平ではないこの世の中に有って、
人間は何かしらその生涯に於いて、必ず愛する対象物や、
愛する人をみいだす。
だからこそ、それが愛おしく大切な存在となる。
そして、その一番身近な存在が「恋人」なのかも知れない。

この映画に登場する人々は皆それぞれが不器用な人間ばかり!
そんな彼らの日常を捥ぎ取って描いたのだから、みな生き辛そう
で当たり前だ。
映画を観ていてゾットするような救いのない人達
延々と続く出口の無いトンネルを彷徨う人々
でも、本当に世の中こんなひとばかりで、
生き辛い日常なのだろうか?
作品の登場人物達が本当に実在しているとしたら、
さぞや生き辛い事だろう。
しかし、これはフィクションですよね?
もう少し明るい人達が存在しても良かったのではないだろうか?
この広い世界に目を向けたなら、今の日本の世の中は
もっと輝いて見えても良い筈だろう。

橋口監督「ぐるりのこと」から7年振りのメガホンが
この作品と言うから驚きだ。
ゲイである事をカミングアウトして映画監督になった
橋口監督なればこそ、身近に偏見や差別を日々受けて、
葛藤を胸に生き続けてきたのかも知れないし、
或いは普通に暮らしているのかも知れない。
しかし、監督の日常がどうであれ、そんな彼の目線は
いつも生き辛い人々にスポットライトを当てている。
優しい目線と言えば、それは橋口監督の優しさなのかも知れない。
今回も橋口作品、愛する人と死別や、別れ、詐欺等
波乱万丈の登場人物が飛び出し、時に笑いも誘います。
しかし、この世の中、辛い人々でもしも、溢れかえるなら、
それらはもはや人々の普通の日常になって、
映画で表現する迄もないような気がする。
人は普通に暮らす事、これが何にもまして大変なものなのだから、
そこに明るい輝きが欲しいものだ。
初期の橋口作品は、もっとはじけている印象が強い
この作品も映画賞を受賞しているけれど、
次回作ではもっともっと橋口監督には
辛さも笑い飛ばせるようなおもろい作品を
制作して欲しいと願わずにはいられないのだった。

ryuu topiann